キセキの子供(小ネタ)

2011/05/24


少年は既に終わっていた。始まりはなく過程もなく、結果だった。
ぼんやりとした虚像ではなくはっきりとした実像、しかし心許ない危うさを秘めて、結果として存在していた。
全ては始まったことだった。全ては通りすぎたことだった。

少年は少年の至る姿として完成していたのだった。

豪炎寺修也という少年の話をするとき、彼がどんな人間かということは誰でも知っている。特徴も性格も生い立ちも、彼について語ることはたやすい。彼は完成しているからである。
最強のストライカー。良き兄。頼れる仲間。尊敬する先輩。
誰もがこんなふうに簡単に形容してみせる。

彼は少年だ。しかし彼は完成している。変化もなく変更もなく変貌も変容もない。成長することもなく、少年は少年として完結してしまった。

豪炎寺修也という少年は既に終わっている。結果の姿で佇む少年の未来は見えない。



―――
円堂が『始まったばかり』、鬼道が『過程』、豪炎寺は『結果』。そんなイメージがあります。
奇跡ではなく軌跡。通った後。キセキ。

わたしが豪炎寺は他者のためにいるキャラだって思うところもあるからですね。豪炎寺が自分のためだけに何かしたかっていうのが思いつかなくて。最初から最後まで自分のためじゃなかった気がしてるんです。夕香のためチームのため、豪炎寺がしたくてしていたサッカーも父さんとの約束のために止めようとしたし、豪炎寺が本当に欲しがったりしたことってあったのかな。
……ちょっとネガティブ?

豪炎寺さん好きなんだけど幸せな未来が見えなかったことを思い出しました。医者かサッカー選手か、どっちになりたかったんだろう。
今となっては詮ない話ですが。

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