赤いのだあれ(虎豪)

2011/03/20


練習の合間の休暇時間、タオルを首にかけてベンチに座り込んだ豪炎寺の隣に、虎丸が元気よく座った。
最近、豪炎寺の隣は彼の指定席になっている。

「豪炎寺さんって、戦隊ものとか見てましたか?」

虎丸は豪炎寺との共通点を探したいのか、ひたすらに話しかける。よく話題が尽きないと周囲も関心するほどだ。
今回は好きな番組、というところか。

「日曜日の朝やっているやつか?小さいころなら見てた」
「俺すごく好きだったんですよー。特に赤!」

小学生男子らしい発言に、豪炎寺も微笑む。
物分かりのいいところもあるが、虎丸はやはりまだ子供だ。ヒーローが好きだなんて、可愛いところがあるじゃないか。豪炎寺も記憶を手繰り寄せる。
小学生になるかならないかの頃はよく見ていたように思う。ジュニアユースに入ってからは朝から練習があって見てる暇はなかったし、それよりもサッカーをしているほうが楽しかった。
ある意味では豪炎寺のヒーローは、テレビの向こうでピッチに立つ揃いのユニフォームを着た十一人だったのかもしれない。

「俺はやっぱり恐竜のやつが一番ですね!」
「恐竜……ああ、そんな戦隊もいたな。俺が最初に見たのは動物のだった。赤がライオンだったかな」
「えっ?」

虎丸が怪訝そうな顔をする。豪炎寺は首のタオルを掴む。喉に流れてくる汗が気持ち悪い。

「年齢が違うんだから当たり前だろう。虎丸のやつは確か俺が見てたやつの二つか三つくらい後じゃないか?」
「ええー!」

純粋に驚いた顔をしている。当然だろう、虎丸に年齢の違う友人はいなかったはずだから。
中学に入れば部活などで違う学年と接する機会が増えるから、そういった違いがあることに慣れるが、虎丸には初めての経験にちがいない。
しかし。しかし、どこかもやっとするのはなぜだろう。

「じゃあ、豪炎寺さん俺の言ってるやつ分からないんですか?」
「一応分かる。その次からはさっぱりだが」
「これが二年の差……」

虎丸の表情になぜか豪炎寺がショックを受ける。突き付けられると意外と隔たりを感じるからだろうか。

「俺、頑張りますから!」

何をとも聞けず、豪炎寺は曖昧に苦さの混じった微笑を浮かべるのだった。





―――
先日のヒロ豪に続き、暁ニャッキさんとの合作です。今回はニャッキさんの絵に合うように話を考えました。こういうの結構頭使いますね。絵の伝えたいことから脱線しないようにするのって難しいです。
虎豪二人は実際どんな話をするんでしょうね。


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