お休みヒーロー(マク豪)

2011/03/08

 
イナズマジャパンの世界一を記念してのパーティは夜遅くまで続いた。監督たちも今日だけは多めに見てくれたのか、自国の選手たちに注意を促すだけであとは見守るだけにとどめている。
興奮が冷めやらない円堂とロココは勝負をしに外に出て、他の選手も何人か後に続いた。
豪炎寺はロニージョやテレスに捕まり、話をしている。見るからにコミュニケーション能力の無い豪炎寺は案の定困った顔をしていたが、サッカーの話題のときだけはよどみなく答える辺りは立派なサッカー馬鹿だ。
そんな様子を何気なく眺めていたマークだったが、ディランが色んな人に絡みに行くのを追いかけていくうちに、豪炎寺のことはすっかり頭から飛んでいた。



歩き疲れて椅子に座る。ディランはまだまだ元気らしく、マークを置いて旅にでてしまった。
交友の輪が以前より何倍にも膨らんだ結果の携帯のアドレス帳は、桁数がだいぶ間違っているようにも見える。顔と名前が一致しない人物が早くも続出していることに苦笑して、マークは携帯を閉じた。

「隣、失礼するぞ」
「ああ、…っ」

かけられた声に返事をして顔を上げる。豪炎寺が隣に座った。マークの驚いた様子などお構いなしといった風だ。
溜息をついて背もたれに身体を預ける。疲れた顔をしているが、あの後も色んな選手に絡まれたのだろう。
かくいうマークも、豪炎寺とは話がしたかった。名実ともに世界一のストライカーになった彼と、勝負を抜きにしてサッカーについて意見をぶつけたいと思っていた。
しかし、一方的にライバル視していたこともあり、話しかけ辛い。豪炎寺が疲れている素振りがあるからなおさらだ。わけもなく携帯をいじってしまう。
七分が経った頃だった。携帯を開いていたから時間は間違いない。豪炎寺の身体がぐらりと揺れた。

「わっ」

倒れそうになるのを慌てて支える。顔を覗き込むと、切れ長の瞳は瞼の裏に隠れてしまっていた。疲れから眠ってしまったらしい。
取材やら何やらが朝から詰まっていたそうだから、無理も無い。マークは大きく息をついた。

「全く、せっかくのチャンスが台無しだ」

携帯をマナーモードにしてポケットにしまう。アドレス帳に豪炎寺の名前は無い。
色素の薄い髪を撫でる。まるで猫のように柔らかな髪だ。

「次に会ったら話をしよう、ゴウエンジ」

眠る豪炎寺からは当然だが返事は無い。そっと髪に口付けて、マークは一人ぼっちの約束をした。

「Congratulation,fireboy」



―――
ピクシブから。
マークと豪炎寺うめぇ。

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