あったかいね(源豪)

2011/03/04

 
ひゅうと風が吹いた。すっかり葉も落ちた並木道をダッフルコートを着込んでマフラーも巻いて、重装備で並んで歩く。豪炎寺が呟いた。

「もう冬だな」
「ああ。すっかり秋を通り越してしまった」
「紅葉が見事だったらしいぞ」
「見に行けたらよかったんだがなぁ」
「色々あったんだ、仕方ない」

はあ、と吐き出した息が白い。北のほうはとうの昔に雪が降ったそうだ。吹雪からのメールを思い出して、豪炎寺は身体を震わせた。
源田が顔を覗き込む。

「寒いか?」
「少しな」
「冷えるもんな」

笑う源田の鼻の頭が寒さからか赤くなっていて、豪炎寺もつられて口元を綻ばせた。
あ、と源田が嬉しそうな顔をするものだから、鼻先までマフラーに突っ込んで見えないようにする。源田の笑う顔はどこか『兄』という存在を思わせて、なんだか照れくさい。

「そうだ、焼き芋とか食べないか」
「味覚の秋はもう過ぎたぞ」
「寒いときには温かいものが一番だろう」

ほら、と源田が手を引く。いつもこうして自然に繋がれてしまうから、豪炎寺から源田に触れたことは数えるほどしかない。
したいと思う気持ちも確かに存在するが、自分から行動するのは恥ずかしい。
結局、源田にされるがままになってしまう。
大股に進む源田を追いかけて、豪炎寺は足を速める。

「あれ?そういえばコンビニって焼き芋あったか?」
「たぶん、ない」
「じゃあ豪炎寺は肉まんとピザまんならどっちのほうが好きなんだ?」
「肉まん」
「よし、肉まんにしよう」

源田は楽しそうに笑っている。もうなんでもいいか、と豪炎寺も笑った。繋いだ手は冷えていたけれど、なんだか温かかった。



―――
ピクシブから。
二期と三期の間か、いっそ一年くらい経っていてもいいかもしれません。この二人はほんわかしやすい傾向にありますね。好き。

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