♯融解(フリリク涼+豪)
2010/11/18
実は憧れていたのだと思う。自分に正直なところも、それがゆえに奔放なところも、その炎のような気性も。
色にすれば赤と青。交わらず、重ならず。補い合うことも難しい二人は平行線であった。
ある日、涼野は自分が南雲に惹かれていることに気がついた。均衡が崩れてしまったことを理解したのだ。
天秤は傾いた。
しかし、南雲が涼野の想いに応えることはあり得ない。南雲には想い人がいる。南雲のように炎をまとう、かつて敵だった少年。
そんなやつのどこがいい。尋ねたところで涼野が満足する答えが返ってくるわけもなかった。
ただ、何も知らない少年のほうが、南雲と多く共通点を持ち、ずっとそばにいた涼野は正反対の位置にいるということは確かだった。
「幸せなくせに」
開口一番、涼野は言った。
少年と対話する機会をどういうわけか得たときのことだ。
豪炎寺は言う。
「なんのことだ」
彼は知らなかった。南雲が傾ける想いも、手にしている幸福の価値も、それが涼野たちが求めてやまないものだということも、何もかも。
悔しい。羨ましい。どうして。
渦巻く感情をぶつけたところで、南雲が涼野を好きになるわけではない。
でも、苦しい。苛立ちも悲しみもごちゃ混ぜにした熱さが胸を焼く。
炎のストライカー二人のせいで焦げてしまいそうだ。どうせならいっそ、氷のように溶けて蒸発して消えてしまえば楽になれるのに。
自嘲するように涼野は鼻で笑った。豪炎寺は眉をしかめて困惑している。
ざまあみろ。
ほんの少しだけ、彼を哀れに思った。
―――
りょこさまリクエストの「涼→南→豪前提の涼+豪でシリアス」でした。
シリアスというか暗い……?
会話がほとんどないのを久しぶりに書いたなーと思いました。涼野の内面を考えるのは楽しかったです。
リクエストありがとうございました!
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