日曜日はまた晴れだ(お日さま園+豪)

2010/09/26

 

南雲に引っ張り出されたグラウンドは施設のものとは思えないほど立派だった。ナイター用の照明や観客席もあり、どこかのスタジアムと言っても通用しそうだ。
呆気に取られてぐるりと見渡していると、園からわらわらと人が出てくる。

「抜け駆けとは感心しないなあ」

基山を先頭に元ジェネシスだった子供たち。

「私も円堂たちには用がある」

砂木沼も瀬方たちを引き連れている。その隣では涼野が涼しい顔だ。

「楽しそうじゃないか」
「な、なんでお前ら」

驚いた顔をする南雲に、緑川が答える。

「窓から丸見えだったんだよね。後は悪事千里を走るってやつ」

にっこりと笑いながら言われて南雲は大きく肩を落とした。ようやく逃げられるとそっと手首を掴んだままの手を剥がして後退る豪炎寺だったが、三歩も行かないうちに誰かに肩を掴まれる。振り返ると、瞳子が豪炎寺の頭上を通り越して彼らを見ていた。

「円堂くんたちならじきに来るわ。一番に試合をしたいというなら、戦って決めなさい」
「え」

豪炎寺の呟きは見事なまでに華麗にスルーされた。瞳子の言葉に盛り上がった五人は、まずその中での対戦順を決めているらしい。ぽつんと佇む豪炎寺はその争いを眺めるしかすることがない。
端に避けてぼんやりしていると、ジャンケンで勝敗が決まったようだった。涼野と砂木沼のチームが最初に戦うらしい。
豪炎寺の隣に緑川と基山が立つ。

「このあとは俺と南雲のチームが戦うよ」
「この試合の勝者が俺のチームとなんだ」

勝ち抜き戦かと呟くと、両端が頷く。

「でも、緑川か基山のチームと戦うことになったらどうするんだ?」

豪炎寺は首を傾げる。彼らはきっかり十一人だけで、控えなどはいない。イナズマジャパンかこちらかのどちらかを選ぶしかないが、選択肢はあってないようなものだ。
二人は顔を見合せると、にこりと笑って返す。

「基山のチームのときは基山があっちにいて、俺がイナズマジャパンに入るよ」
「緑川のときはその逆。ね、これなら問題ないだろう?」

豪炎寺は頷いた。なんにしろ、戦うことだけは既に決定事項なのだ。何を言っても始まらない。

「そろそろ来たころだと思うし、迎えに行こうか」

基山が促す。緑川はと見るが、ひらひらと手を振っている。

「俺は次の試合だから準備しなきゃ。二人で行ってきなよ」

なおも気にする素振りを見せる豪炎寺と手を繋ぎ、基山は玄関へと歩き出す。またも引きずられるようになり、今日は厄日かと豪炎寺はひっそりと溜息をついた。

「ねえ、豪炎寺くん」

基山は振り返ることなく話しかけてくる。豪炎寺が口を開く前に言葉が続く。

「今日は本当にありがとう」
「……いや」
「いきなり連れてきちゃってごめんね。でも、君に、というか君たちに、今の俺たちを見て欲しかったんだ」

豪炎寺は何も言わない。繋いだ手の温度だけがすごく気にかかる。心配になるほど白い手だけれど、温かい。

「俺たちが今幸せだって、知って欲しかったんだ」

基山の手に力がこもる。黙って握り返すと、基山がちらりと振り返った。

「そんなこと、とっくに分かってた」

だってお前は楽しそうにサッカーをするじゃないか。幸せそうに基山が笑う。門の向こうで見慣れた人たちが手を振っていた。



―――
完・結!
一週間元エイリアと豪炎寺で更新し続けるなんて無謀なこと考えたわけですが、ちゃんと終わってよかったです。すごい楽しかった。俺得な流れでした。マジありがとうございました。


あとFFFお疲れ様でした!詳しいレポとかは明日で。楽しかったですー。

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