土曜日は嵐が来た(南+豪)

2010/09/25

 

「やっと見つけたぜ!」

まるで台風が荒れ狂う日の窓のように騒がしい音を立てて現れたのは、真っ赤な髪の少年だった。涼野が逃げるようにいなくなった理由を遅ればせながら悟って、自分も逃げておくのだったと豪炎寺は思った。ずかずかと挑みかかるように近付かれて、半歩足が下がる。

「なんで分かりやすいとこにいねーンだよ!」
「いや、無理があるだろうそれは」
「うるせー!お前には言いたいことがあるんだよ!」

前のめりになっていた身体を起こすと、南雲は豪炎寺に指を突き付けた。

「なんだ、あの気のねー試合!」

豪炎寺がきょとんとして指先を見つめると、南雲は苛々したように顔を寄せる。あまりの近さに上半身を仰け反らせた豪炎寺の胸ぐらを引っ掴んで、南雲は声を張り上げた。

「俺たちとの試合、忘れたとは言わせねーぞ!」
「……ああ」

言われて思い出したのは、最後になると覚悟して臨んだファイアドラゴン戦だった。南雲と涼野と、それからアフロディが強大な壁として立ちはだかったあの試合は、色んな意味で思い出深い。父と向き合えるようになったきっかけでもあるからだ。
そして、不甲斐ない自分を思い出しては恥ずかしくなる。

「俺はお前と本気で戦えると思ったからアッチについたんだ。だっつーのに、全くよー」
「悪かった」

豪炎寺は小さく頭を下げた。一気に毒気を抜かれて、南雲は細く息を吐く。

「……なんでンな簡単に謝るんだよ」
「俺が悪いと思っているからだ」
「まあいいや。ならこれから勝負しろ」
「構わないが」

言うが早いか、豪炎寺の手首を掴むと南雲は歩き出す。

「おい、南雲!」
「いいっつっただろ」
「それは円堂たちが来てからの話で」

くるり、南雲が振り返る。

「俺は今すぐ戦いてーんだ」

金色の瞳がぎらついた光をちらつかせる。まるで飢えた獣のようで、豪炎寺は微かに肩が震えるのを止めることが出来なかった。



―――
南雲と豪炎寺。
明日でラスト!


そして明日は待ちに待ったオンリーですね!うりさんのスペースで売り子しています。わたしはリュウジBユニですが、隣には可愛いうりさん修也がいるのでぜひ来てくださいね!

あーやべ、ドキドキし過ぎて眠れなさそうだ。

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