スタンド・バイ・ミー(未来パロ)

2010/09/06

※もう三作目なのでお分かりかと思いますが、オリキャラがいます。



大学に入ってから早いものでもう三ヶ月という月日が経過した。まだま高校生気分が抜け切っていなかった俺は、今までと全く違う生活に慣れるので精一杯だった。同居人氏はどうやら順応性が高いらしく、疲れ果ててる俺を尻目にバイトに出掛けたりしていた。
入学してからすぐに聞いた豪炎寺の話は、大事になることもなく、いつの間にかどこかへ消えてしまった。それでも気付いた奴が話しかけることはあったが、どうにか適当に躱しているらしかった。

豪炎寺修也。幼少時からサッカーを始め、小学生の時点で才能を嘱望されていた天才ストライカー。名門木戸川清州中で一年生にしてレギュラーの座を勝ち取ると、一気に注目される存在に。その年のフットボールフロンティア決勝戦はなぜか欠場。翌年、無名の雷門中の一員として出場し、見事優勝への鍵となる大活躍。その後、世間を騒がせたエイリア騒動を終結させた一員として表彰。世界大会においても実力を見せつけ、高校でも目覚ましい活躍ぶりだった。らしい。

調べたら出るわ出るわの情報の山に、驚くと同時にうんざりした。見きれるか、こんなもん。
ただ、その中に気になる記事があった。豪炎寺がプロの誘いを断ったという記事の中で、豪炎寺のいた中学でマネージャーをしていたという少女にインタビューしたものだ。
彼女は言った。『豪炎寺くんが決めたなら、きっとそれが一番いいことなんだと思います。だって、自分で決めたんですよね。なら、わたしはそれを応援するだけです』
彼女の言葉が気になった。



「なあ、豪炎寺」

豪炎寺は不思議そうな顔をした。今日はバイトがないと聞いているから、しっかりと話をするつもりだ。

「サッカー、好きか?」

目に見えて豪炎寺の顔が強張る。俺は今、ルールを破る。悪い。あとで一つなんでも言うこと聞くから。でも今は引かない。悪いけど。

「……なんで、それを聞くんだ」
「いいから答えろよ。好きか、嫌いか」
「好きだ」
「じゃあ今サッカーをしないのは?」
「ルール違反だ」
「知ってる」
「なら」

豪炎寺の言葉を遮って、俺は言う。

「俺はお前のことを全然知らない。別に知らなくてもいいかと思ってた。でも、一緒に暮らすのに全く知らないのって、ないだろ」

豪炎寺は口をつぐむ。視線をうろうろとさ迷わせたあと、俯いた。

「せっかく一緒に暮らしてるんだから、お前とたくさん話をしたいよ。いっぱい色んなことを知りたい。壁があるの、気になるんだ」

豪炎寺は何も言わない。

「なあ、そばに行ってもいいか?」

膝を折り、豪炎寺の顔を下から覗きこむ。どこか泣きそうに見えるけど、笑ってもいるようだ。豪炎寺は小さく頷いた。



―――
Aくんのいじめっこー。
というのは冗談として、ようやく関係が進展したなー。これからが大変なんだけどね!頑張れよ、Aくん。

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