金色の瞳へと移ろいかけていたカナ。あのまま放っておけば、それからどうなったかは予測がつかない。それゆえに、サスケは手ずからカナを気絶させた。そしてーーサスケをそうさせる原因を作った相手を、ギラリと睨みつけ、それから戦闘を開始した。

それに応じるようにクナイが向かってくる。だが弾く手間もかけず、雪の凹凸を利用して避けながら、サスケも起爆札付きクナイを放った。__耳に痛い爆発が起きる。更に、サクラ、カカシもまたこの場に到着し、それぞれの動きをサポートする。サクラは雪山の天辺から爆弾を転がし、雪崩を。襲ってくる雪を避けるために動き出した汽車、その車輪の下にある線路を、カカシが爆発させた。
ドォン、ドン、ドン__!!度重なる爆破音が周囲を襲う。
いくら寒かろうと雪に囲まれていようと、これで汽車に引火しないわけがない。動いていた汽車だが、これで止まらないはずないだろうーーーと、誰もが思った。

しかし、ガキィンと、鈍い音が通過したと同時、先頭の列車はまたもスピードを上げていた。連結部分を外したのだ。ドトウらが乗っている車両だけが、まんまと逃げ出していたのである。

いち早く気付いたサスケがそれを追おうとするが、そのサスケの目の前に瞬時にカカシが立ちはだかった。深追いはするな、との担当上忍の指示。雪の国の気候は完全に雪忍に有利であるし、木ノ葉側は地形にも疎い。しかも、後を追う側は、追われる側よりも圧倒的に不利になりやすいのだ。
サスケはチッと舌打ちし、姿を翻すーーー戦闘は、この数十秒で終了した。

だが、あまりに、犠牲は大きい。



サクラは思わず目を背ける。この惨事に、惨劇に。酷い、と漏らした声は、震えていた。
屍が斜面を覆っている。それ以上に、鮮血が雪を彩っていた。ナルトは強く眉根を寄せてそれらを見続ける。決して目を逸らさなかった。悲惨な結末は、しかし、彼らが最後まで"戦い続けた"証でもあった。

「あれが、諦めなかった結果よ」

だが、それを否定する声がある。ナルトは振り返り、ぎっと睨みつけた。小雪は斜面から目を逸らしてぼやいていた。「ドトウに逆らわなければ、こんな目に遭うことはなかった......」
低い声色。今の小雪の心には、ナルトと共に大洞窟を抜け出した時のような、あの奇妙な熱い気持ちはなかった。彼らに降り注いでいたクナイの数だけ、小雪の想いは削られてしまった。その視線の先がついと動くーーー三太夫が、カカシとサスケによって、運ばれてきていた。

「......姫、さま」

元よりしわがれていた声は、更に心もとないものとなっていた。目の焦点はうまく合わず、息も絶え絶え、しかしそれでもなお三太夫は小雪を見上げ、淡い微笑を口元に残す。

「私も、ここにいる者たちも。みな、姫様がいて下さったからこそ......諦めずに、いられました」
「......」
「幼い頃も、そして今も、姫様は、姫様でした......この、三太夫の信じた通りの。......ご自分を信じて下さい、みな、姫様が希望だったのです......」

三太夫の脳裏に浮かんだ幼い小雪が、今の硬い表情の小雪と被さる。小雪は黙ったままだった。黙ったまま、息をひそめ、顔の筋肉を張りつめて、三太夫を見つめていた。「姫様......、」零れるように三太夫は言う。瞼がどんどん重くなるーーー振り絞るように、最期に、囁くように。

「姫様、どうか......泣かない、で___」

その手に握りしめていたものが、雪に落ちた。

三太夫がいつも身につけていた短刀ーーそれに紐で結わえられている、彼自身は一向に使うことのなかった目薬。小雪にとって見慣れたそれは、泣くことのできない小雪が、演技のために使用していたものだった。
もう、三太夫は何も言わない。
誰かがすすり泣き始める。
__小雪は、もういない相手に、呟くように吐き捨てる。

「本当に馬鹿ね......三太夫。......目薬は、あなたが持ってるじゃない」

三太夫が落とした短刀を握りしめる。小雪の手の内に収まった涙は、儚い輝きを放った。
「......もう、満足したでしょ」。作ったような声が小雪の口から漏れる。立ち上がって振り返った小雪は、気丈な表情で周囲を睨みつけた。

「これ以上この国にいたら、アンタたちも無事じゃすまないわ。さあ、帰るのよ!」
「どこへ、帰るんだよ!!」

独りでに歩き出した小雪の背中にナルトが怒鳴る。今の今まで抑えていた苛立ちも限界だった。

「アンタの国はここだろうが!! どうしても帰るっつーなら、ドトウを倒して堂々と自分の家に帰りやがれ!!」
「なんにも知らないくせに......ここには春がないの! 涙が凍り付いて、心が凍えてしまう国なのよ!」
「でも、アナタなら、変えることができるんじゃないですか!?」

口を出したのはサクラだった。全員の視線がそちらに向かう。サクラの瞳は潤んでいた。少なくとも、三太夫はそう信じていただろうと言って。彼自身がそう言うだろう顔はあっさり想像できるーーーもちろん、小雪にも。だからこそ、小雪はそれを振り払うように、「無茶言わないでよ!!」と怒鳴った。

「私には、そんなことできないんだから!」

そうしてまた姿を翻して進んでいく。その先にある車を目指しているんだろう。

「待てよ!」
「うるさいっ、もう、ほっといてよ___!」


ーー小雪がまた怒鳴り返してくるのは、まだ予想の範疇内だった。
しかし、それには誰もが目を丸くしていた。

小雪の背後の崖から、突如出現した、巨大な飛行船。

全員が例外なく、口を大きく開けてそれを見上げる__その中で、サスケが一番に声を上げていた。


「カナ!!?」


ーー飛行船の開いた扉から、カナを抱えたミゾレが姿を現していた。
誰もが逐一振り返って確認する。「!? おい、お前ら!」とマキノが慌てて駆け寄る__つい先ほどまでカナを介抱していたスタッフたちが倒れていたのだ。そしてそこから当然カナは消えている。

「キャッ!?」

更に異変は起こる___小雪が難なく捕まってしまった。

「カナ、小雪さん!!」
「てめえっ二人を離しやがれ!!」

忍たちはすぐ飛行船を追いかけ飛び乗ろうとするが、それを見越したかのようにツララが現れていた。
「氷遁 雪針!!」__その術名を聞きサスケがハッとする。先の戦闘でも使われていた術だ。「足元に気をつけろ!!」とサスケが怒鳴ると同時に、足元からは幾多の氷の槍が突き出し始めた。忍たちは避けることは容易くとも、一般人をサポートするのは困難だ。
なんとか被害を被らずに済んだが、舌打ちしたサスケは既に遠くなった飛行船を見やると同時に、あのいつもうるさい声が全く聴こえなかったことに気付いた。

「サクラ、ナルトは!?」
「え!? そういえば......って、まさかアイツ!」

いないのだ、あのその場にいるだけで目立つオレンジ色が。
慌ててもう一度空を見上げれば、飛行船の下に何かがぶらさがっていた。言うまでもない、そのオレンジ色だ。

「そう簡単に行かせてたまるかよ! 多重影分身の術!!」

飛行船に縄を引っかけ飛びついていたナルトは、器用にも口で縄に噛み付きながら、得意の術を発動させる。ここまでくればナルトのものだ。自身で自身を支えたナルトは、確実に飛行船に近づいていった。



「綺麗になったな。小雪」

ソファに座る小雪を見下ろすドトウ。望んでいた展開になったからだろう、その口元には笑みが浮かんでいる。対し、小雪は必要以上に抗う様子はないが、かといって素直に従う気はないようだった。ドトウの顔は見ない。代わりに、自分の膝に頭を寝かすカナを見ている。

「六角水晶はちゃんと持っているのか」
「......ええ」

従うつもりもないが、逆らうつもりも毛頭なく、小雪は正直に頷いた。

「結構。あれこそが風花家を結ぶ唯一の絆だからな......そして、秘宝を開けるカギとなる」
「秘宝の、カギ?」
「わしがお前の父からこの国を譲り受けた時、風花家にはなんの資産も残っていなかった。早雪はどこかに財産を隠したに違いない。わしは探した......そして、ついに見つけた。それは虹の氷壁に隠されている」

小雪はドトウを見上げるも、実に胡散臭そうな目だ。ドトウは悦に浸っているようで悠々と語っている。風花の秘宝さえ手に入れば、様々の強力な武器が手に入ると。そして更に、"神人"を上手く扱うに至れば、雪の国は忍五大国をも凌駕する軍事力を手に入れると。
ドトウの視線がカナに落ちる。小雪は自然とドトウから体を反らした。まるで、カナを庇うように。
小雪は忍の事情に詳しくないが、"神人"というのがカナだということは察している。この少女もまた狙われているーーこの、風花家の裏切り者に。

ちょうどその時、小雪は自分の膝でぴくりと動く気配を感じた。

「小雪、さん......?」
「!」

カナの瞼が上がっていた。虚ろな瞳を確認し、小雪は慌てて顔を覗き込む。しかし、大丈夫か、という言葉をかけることができないまま、小雪は固まってしまった。__唐突にカナの頬に零れていったものがあった。
小雪が止められないまま、上体を起こし顔を伏せたカナから、次から次へと涙が溢れ出ていた。それを見た小雪は目がはなせなくなった。肩を震わせ、声を押し殺して、泣いている。知りもしない人間がたくさん殺されたことに。

「......滑稽だな、"神人"」

静寂が滞っていた一室に野太い声が響いた。

「何故泣く? 何故悲しむ? 何に泣かねばならんというのだ。あの者共は弱かった。"力"こそ全てだろう。大きな力をその身に宿しているお前は、そうは思わないか?」

カナはやっと顔を上げていた。涙で溢れている瞳がドトウを映す。「風花、ドトウ......!」
すぐ傍の敵の存在すら気付かないほど、あの光景に憤慨していたのか。小雪はじっとカナを見つめていた。カナの表情があからさまに変化していく、その最後までーー。

その瞳の色が完全に変わってしまう、その最後まで。

「金、色__?」

神々しいまでのその色。思わずぼやいた小雪の声は聞き取っただろうのに、カナは小雪に脇目もふらずに、ーードトウに向かって飛び出していた。手にはクナイ。

ギィイン__!

金属音が響く。ドトウは何か装飾が施された短刀で防いでいた。だが力比べにはならない。既にドトウの刀に切れ目が入り始めていた__カナのクナイには風がまとっているのだ。

「バカにしないで!! 人の命を、あんなにたくさん......!」

金色からも涙は溢れていた。ぼろぼろと零れ落ち、声は震えている。感情の高ぶりのためだろう、それ以上言葉は続かない。しかし、カナの憤りが尋常でないことは明白だ。ドトウは自分の手が震え始めるのを感じた。小娘ごときに力で負けているというのだ。だが、カナがそれ以上踏み込んでくる様子はない。

「なんだ? どうした、わしを殺さないのか?」

ドトウの思い通り、泣きはらした目は悔しそうな色を滲ませた。

「お前には確かに力があるようだが、それを使うだけの勇気がないようだな。脆く、弱い......何を覚悟して忍になったのだ? 人を殺す覚悟をしたのだろう?」
「そんなの、してない!!」

ガキィン、とドトウの刀が弾かれる。咄嗟に身を後退させたドトウだが、それは遅い。カナのクナイにまとう風が更に鋭利なものに研ぎ澄まされる。それが、そのままドトウの鎧に向かった。ーー耳障りな音が耳に届いた。

「殺す覚悟じゃない......護る覚悟をして、私は忍になった。人を殺すために忍になったわけじゃない......!!」

鎧はカナの風をも阻んだ。しかし、引っ掻いたような傷がついている。
カナの口から漏れた言葉は、ドトウには決して理解できないものだった。「腑抜けた小娘が......!」舌打ちしたドトウの口が毒づいた。"神人"は、その強大な力を私利私欲の為には用いないと言う。第一には他者の為だと言うーー。これでは褒美で吊って操ることはできないだろう。

「フン......まあ良い。わしの言う通りにならんというなら、力づくで抑えさせてもらおう」

そう言った時には手が動いていた。金色は鋭くドトウを突き刺すばかりだ。ドトウの手がカナの頭に届こうとしたーーーが。
その途端、フッと、カナはそこから消えていた。


「カナちゃんに手は出させねえ!!」
「!」

小雪はハッとしてソファーから身を乗り出していた。ドトウも同じく不快そうに目を送る。「アンタ!!」と小雪は叫んだ__そこにいたのは予想通りの姿。突如現れた彼はその手にカナを抱えていた。

「貴様、どうやってここに」
「へっへーん。忍者をなめんじゃねーぜえ?」

金髪忍者が得意げに笑っていた。

「......ナルト」
「カナちゃん、良かった。意識はちゃんとあるんだな。ここはオレに任せとけってばよ。こんなヤツら、オレが三秒でけちょんけちょんに伸して......」

しかし、そうやって見栄を張れたのもその一瞬だけだった。
左右から現れたワイヤーが、あっという間にナルトを捕らえていた。

「うわっ!?」

ナルトが素っ頓狂な声を上げると同時、支えがなくなったカナは落ちてしまう。
更に、二人の背後にあった巨大な扉が開く。そこには大量のナルト__影分身が溢れかえり、全員が全員捕まっていた。その山の後ろにはアラレとツララが立っている。「私のほうが多くしとめた!」「いやあたしだよ!」と二人は相変わらず口喧嘩をしていたが、ドトウの姿を見つけるとその口を閉じた。
そしてナダレがしゅんっと姿を現した。

「申し訳ありません、意外に手こずらされました」
「ほう、多重影分身を使うのか」
「ええ。この小僧、よくはわかりませんが、非常に強力なチャクラを持っているようです」

ギラリとミゾレを睨むナルト。すぐどうにか脱出しようと試みるが、それはミゾレの怪力で押さえ込まれている。
「ナルト!」とカナも起き上がって対応しようとするが、その途端両手を背中に縛り上げられていた。「痛っ」「カナちゃん!」苦痛に顔を歪めたカナを見てナルトが叫ぶ。カナの背後に回っていたのはツララだった。

「なめるんじゃないよ、小娘。いくら強い力を秘めてようとも、アンタ自身はまだヒヨッコだ。この人数を前に何ができる?」

言われようとも、カナは痛みに耐えることで精一杯だ。その様子を見ていたミゾレがやれやれと頭を振る。「そいつはドトウ様に必要な存在だ。あまり粗暴に扱うな」。ツララはハイハイとテキトウに返した。

「それで、この小僧はどうするんだい? ドトウ様」
「念のため、例の装置をつけておきましょうか」
「......うむ。そうだな。ちょうどいい、面白い実験材料が手に入った」

その物言いにナルトもカナも睨みつけた。
すぐに耳に捉えたのは機械音だった。ナダレが何かを持ってきている。大きくはないが、当然良い予感はしない。カナはなんとか動き出そうと図ったが、ツララに髪を引っ張られ抵抗は無駄に終わった。

「アンタじゃないよ」
「え?」
「そっちのボーヤさ。大人しく見ときな。面白いから」

目を瞬いてからナダレに視線を移せば、_確かにその目標はナルトだった。だが、それなら尚更カナは焦る。
ナダレが持っている装置からは何か電流音が聴こえている。たった今作動させたのか、嫌な赤い光を放っていた。「立て」とミゾレに引っ張られ、冷や汗をかいたナルトは無理矢理立たされる。「ナルト!!」と叫んだカナの声は無意味だった。

ナダレはそれを、埋め込むようにナルトの腹に差し込んだ。
歯を食いしばっていたナルトは、しかしそれが生き物のように腹に根をはった時、耐えきれず叫んでいた。

「ぐァああああ!!」
「ナルト!! っ放して!」

尋常じゃない叫び声を聞きカナは立ち上がった。呆気なくツララの拘束は解かれ、苦しむナルトに駆け寄る。何度となく声をかけるも、既に意識はなかった。多重影分身もワイヤーを残して消えていた。
呼吸を殺してその場を見ていた小雪は、二人の様子を見ながら尋ねた。

「あの電撃は、なんだったの......?」
「チャクラの制御装置だ。装着された者のチャクラを吸い上げ、非常に強固な壁を作るため、取り外すことも破壊することもできぬ。絶対にな。......"神人"よ」

小雪に説明を施したドトウは、それからカナに呼びかけた。ナルトを抱え込んでいたカナはキッとドトウを睨みつけた。

「無闇に外してくれようとするなよ。いや、しても構わんが、そうして痛みに苛まれるのはその小僧だ」
「! ......外し方は」
「教えるものか。これでこちらの手の内に小雪のみならず、その小僧も落ちた。抵抗すればどうなるかは想像つくな?」

カナは悔しそうに歯を食いしばるも、苦しんでいるナルトの顔を見ればどうにもできない。
小雪はその二人をじっと見つめていた。敷かれたレールに抗うからそうなるのだと、言ってやりたかった。だが、実際に口から漏れることはなかった。矛盾している、無駄だと思うというのに、二人の瞳を見ると口を噤んでしまうのだ__。

「......さて、では、六角水晶を渡してもらおうか」

ドトウの声が傍で聴こえ、小雪はハッとして振り返った。ドトウがその手を小雪に差し出していた。六角水晶は小雪の首に下がっている。一瞬躊躇した手は、しかしきちんと水晶を掴み、それをドトウに手渡した。

「おお......これぞ待ち望んだ......」
「それでいいんでしょ。満足?」
「......いや」

一度感情が高ぶった声は、途端に底冷えするような声となった。小雪は不審そうにドトウを見る。男の目は品定めするように水晶を見つめていた。「これは......」。そして、突然小雪の胸ぐらを掴んでいた。

「ふざけるな!! これは真っ赤な偽物だ!!」
「!? そんなはず......!」

身に覚えのないことを言われ、小雪は正直に返した。だが、唐突に記憶が甦った。
そういえば、一度目の雪忍戦の後。あまり意識がはっきりとしていなかったので曖昧だが、誰かが部屋に忍び込んでいたのは憶えている。その人物は六角水晶を触っていたようなーーー背の高い、銀色の。

「......はたけ、カカシ」
「なに?」
「なるほど。あの男なら、すり替えることくらいはしかねません」

ドトウと小雪のやり取りを見ていたナダレは、主人よりも落ち着いた頭で考え進言した。続いて、フブキが「今すぐカカシをここに連れて参りましょう」と装備を整える。しかしそうなると出しゃばる者がいる。

「ちょっと待て、そりゃあたしの役目だ」
「何言ってるのよ、先に言ったもの勝ちよ」
「いーや、実力が優先だろ」
「その必要はない!!」

いつも無駄なケンカになる二人は、そこで主人の声に遮られた。
ドトウは小雪が嘘を言っていないと判断すると、乱暴にその胸ぐらを放した。

「ヤツらはすぐにわしらの前に現れる......その時まで、待ってやる」


ナルトは静かに顔を歪ませている。カナは雪忍たちを意識しながら、そっと自分のポーチに手を伸ばした。目的の物を掴んで、それをナルトのホルスターに差し込んでやる。
流れはわかった。ドトウの読み通り、七班は恐らくどうにかして乗り込んでくるだろう。それに乗じて逃げ出せれば。

高笑いするドトウの手の中で、偽物がパリンと割られていた。

 
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