第五十八話 出現


どこからともなく現れた羽根が、ふわりと会場内に舞っていた。
小さな小さなそれは銀の色をまとい、観戦者たちの瞳を一様に奪っていた。
左右、左右へと揺れながら、それは徐々に落ちていく。
数秒、数十秒とかかっただろう。

それが床に落ちた━━━と同時に。


「キャッ!?」

サクラは思わず声を上げていた。大きく鋭い冷えた風が、会場内に巻き起こったのだ。もちろん出所は、階下。
ゴウと唸る風に全ての音が消される。そしてその中心は言うまでもなく、"風使い"だった。


「......まさか」

ぽつりと呟いたのは北波だった。唸るような風を前に、珍しく北波は冷や汗を流し、けれど逃げるような素振りは全く見せないまま、ある一点を凝視し続けた。この風の中心にいる少女の姿。

審判であるハヤテは気を取り直し、再び二人を見た。
台風のような風の中心にいるカナと、その前にいる北波。二人はまだ、動かない。ただこの鋭く冷たい風は攻撃的だった。それはこの会場にいる全員が感じていた。会場内にいる全員が、自身に突き刺さるような風を感じている。
まるでもう、他者への気遣いを忘れたように。

そうして、ハヤテはハッとした。
風に舞い上がる少女の銀の髪に。少女の色づいてきた瞳に。

その瞳の━━━金色に。

強く、それでいて、鋭利な色。自然と目を奪うのに、それは優しくも何ともない。


その目の前にいる北波は、カナの瞳の色に一瞬息を呑んだが、半ば無理矢理口元を上げた。

「よお......楽しかったか?」

馬鹿にするような。しかし北波は初めてカナに警戒の色を見せていた。それほど、この風も"金"も威圧的だった。
北波の姿を認め始めたカナは、ようやく小さく口を開いていた。

「ゆ......ない......」
「......聞きとれねェぜ......姫」

北波はそう返したのにも関わらず、既にわかっているようだった。

風が少しずつ収まっていく。台風は、発生源であるカナへと吸い込まれていくように。その間、両者の視線は交わっていた。金の瞳に茶が、茶の瞳に金が。それぞれ映り込み、次第にそれは、"似た視線"となっていった。
金の瞳の意思が、北波がカナにぶつけるものと、似通ったものになり始めていたのだ。


それは、憎悪。


「さ、ない......許さないッ!!」


怒声であり、叫声だった。
それを聞いた途端、北波は数メートル後方に飛ばされていた。
風ではない、瞬時に移動したカナが、思い切り北波の頬を殴り飛ばしたのだ。痛々しいほどの音が会場内に響き渡り、誰もが息を呑んだ。

「ははっ、痛ってェ......ようやく、本気か?」

とはいえ北波も倒れない。よろめいただけに終わった北波は、皮肉気にカナを見返した。
カナは北波を殴った場所で止まっていた。拳を握りしめたまま、ゆらりと顔を上げ、金色で北波を睨む。ありありと現れている憎しみの感情が、躊躇なく北波を刺していた。

「そんなに睨んでも、オレはそう簡単にやられねえよ。大体、許さねえ、って?」

口内で切れたところから湧いた血を吐く。カナの視線を北波は余裕で受け止めた。激しい怒りが襲ってこようとも、北波は何の恐怖も覚えなかった。
いや、覚えようがなかった。なんのことはない。北波も、同じだから。


「許さねえ、それは、オレも同じだ!!」


ダン、と北波が床を蹴って走り出す。対するカナは、金の瞳でギンと強く相手を睨んだ。



「あれ......ホントに、カナちゃんか......?」

呟くように言ったナルトの言葉に、隣で聞いていたサクラはただ涙目で「分からない」と首を振るだけだった。
しかしそう答えながら、サクラは分かっていた。答なんて簡単だ。あれがカナでないはずがないのだ。間違いなく、カナなのだ。それでもサクラが思わずそう答えてしまったのは、ただ、信じたくないから。

いきなり変わったカナの瞳の色に驚いているわけではない。床にヒビを入れたカナに怖がっているわけではない。"雰囲気そのもの"が、サクラの知るカナではなかったから。いつもの温かい空気がまるで感じられないのだ。そして代わりにあるのは、ただただ"冷たい感情"。
こんなにも離れているのに、カナの直情的な感情がきりきりと伝わってくる。

「(嘘よ......こんなの、カナじゃない!憎しみなんて、カナはそんなの、)」

サクラは痛くなるほどに柵を握っていた。
この感じは、似ているのだ。サスケが暴走してしまった時にあった恐怖の感情に。もう、仲間のあんな姿は、見たくなかったのに。


「やめてよ......やめてよ、カナーーー!!!」


悲痛の表情を浮かべるサクラを今、救える者はただ一人だけ。カナだけだった。
けれど、今のカナにその声は届かない。
金の瞳はサクラに目もくれず、対戦相手である北波だけを追っている。どこまでも冷静に見えるけれど、そこに"カナ"はいない。

風が舞い、銀色の髪が忙しくなびく。
細い指に操られている風が勢いづいて北波を襲っていく。ゴウと唸りをあげる程の風は 直撃すれば相当のダメージとなるだろう。だが、対する北波も負けてはおらず、会場中を走りながら柔らかい体でしなやかに避けていく。

そのうち、誰かが呟いた。


「あの風......チャクラ、使われてるか?」


そしてそれを聞き取れてしまったのは、三代目火影だった。
いつも以上に耳に神経を寄せていた三代目は、それを易々と聞き取り、顔を苦渋に歪めた。

今のカナがどんな状態にあるにしても、あの風はチャクラで作られたものではない。"風使い"としての風。以前、三代目が直々に「人前では使うな」と念を押したものだ。その約束は試合前半では守られていたというのに、今は一切遠慮なくカナは使っている。まるでそんなことなど気にしていられないというように。

「(何があったというのだ、カナ......!)」

三代目とて、風云々を抜きにしても 今のカナを見るのは辛かった。孫のような存在である少女が笑っていない。それだけで三代目の心は潰されるような思いだった。



「風遁 風鎌(かざかま)」

素早く紡がれた言葉と印により、カナから目に見える程の巨大な風が生み出される。ようやく風の猛襲が一旦やみ 止まっていた北波だが、間髪入れずにまたカナから術が発動されチッと舌打ちした。また逃げてやり過ごそうにも、鎌のようなカタチをして襲ってくる鋭い風は範囲が広すぎて逃げ切れない。

「土遁 土流壁」

すると、北波の周りに作り出された土壁。
ギリギリのところでそれは間に合い、風鎌は土流壁と衝突し 耳に痛い程の音を響かせた。

しかし、まだ消滅はしない。

お互いがお互いの力を押し合い、止まらない。遠いところで見物しているカナとは違い、土流壁の中でじっとしている北波の体には、風鎌から四散した風による小さい裂くようなキズがついていく。
そのうち、一層深く北波の腕が切り裂かれた。

「チッ......!なめんな!!」

それに苛ついたように歯ぎしりした北波は、更に土流壁を強化した。風鎌といい勝負だった強度が、僅かに勝ち誇る。その途端、ギギギギと嫌な音がした。

風鎌は土流壁に勝つことはなかったものの、崩れることもなく、土流壁を伝ってまた直進し出したのだ。北波を通り越して、なお。

そしてその先は。

「おいおい、やべェんじゃねーの?」

振り返った北波は至極どうでもよさそうに呟いた。

その先の階上には、木ノ葉の紅班がいた。

「! オイ、ヤベーぞ!!」

真っ先に叫んだのはキバ。

「こちらに来る!」
「カナちゃんッ」
「ヒナタ、さっさと逃げなさい!!」
「おいヒナタ、掴まれ!!」
「ワンワンッ!」


派手な音が、会場に響いた。


ガラガラ、と崩れ落ちていく瓦礫を北波は横で見る。一応というように確認したが、その瓦礫の中に人の気配はない。
もう一度 階上を見れば、北波の瞳に、風鎌で崩れ落ちたギリギリのところで、木ノ葉の下忍たちが息を切らしている姿が映った。呆然としていたせいで行動が遅かったヒナタは足に軽い擦り傷を残しているが、運がいいことに大事にはならなかったらしく、北波はそこで完全に興味をなくし カナを再び見る。

普段なら仲間を誰よりも案ずるカナは、今はそこで平然として、ただ北波を目で捉えていた。

「......いつもの調子はどうしたよ」

北波の声が静かに言った。

「完全に憎しみに取り込まれやがって。いいのかよ。今、お前の術で大ケガしそうになったのは、お前のオトモダチだぜ」
「......」
「......フン、それともなんだ。本当はぬるいオトモダチごっこなんか、どうでもいいって思ってるってことか」
「違う!!!」

北波の声に反論したのは、しかし、カナではなかった。
北波は再三振り返る。肩を大きく上下させたヒナタが、シノに支えられつつ立っていた。

「カナちゃんは、カナちゃんはそんなこと思ってない!!カナちゃんはいつだって、誰よりも優しいもの!!」
「......へえ、そうかよ。オレの目には、お嬢さんのほうがよっぽど優しく見えるけどな」
「!」
「なんでお嬢さん、アンタ、たった今自分を傷つけたヤツのことなんか庇ってんだ?」

珍しく、本当に珍しく声を荒げていたヒナタは、そこで言葉に詰まっていた。違う、北波の言っていることは間違っている、それは頭で理解しているものの、うまく言葉にならない感覚。

いつもの内気な性格が戻ってきたようにヒナタは口を噤む。
だが、そこでヒナタの意志を受け継ぐ者がいた。


「仲間だからに、決まってんだろ!!」


金髪碧眼、自分の忍道まっしぐらの少年、カナのチームメイト、ナルト。

「あーだこーだめんどくせェ理由なんかいらねェ!オレたちはカナちゃんの仲間なんだってばよ!!」
「そっそうよ!カナを信じる理由なんて、それだけで十分だもの!!」

桃色の髪を振り乱し、涙を瞳に溜めながら、柵から乗り出すようにするサクラ。そして、

「ソイツのことは、誰よりもオレが分かってる」

階下。カカシの制止の腕を払いのけ、一歩だけ前に踏み出したサスケ。
漆黒の瞳が怒りにギラついている。北波は最後にサスケに視線を移し、そこでようやく立ち上がった。

「......"うちは"のガキか。誰よりも分かってる、ね......」

その小さな呟きは、恐らく誰にも聞き取れなかったことだろう。それよりも、北波は再び拳を繰り出してきたカナに瞬時に反応し、その力強い拳を両手で押さえ込んだ。

「こんな状態のコイツを、誰よりも解ってるっつってんのかよ、ガキ!」

風をまとったカナの拳はクナイで受け止めたところで構いやしないだろう。現に北波の両手は既に切り傷が入っている。が、北波はわざわざ短刀を取り出さない。

「ソイツは意味もなく人を憎んだりしねェ。なんかしたな、てめェ」
「へっ、お見通しってか?ったく、可愛くねえガキだな」

その直後、北波は急に力を抜き、後退した。
今まで抑え込められていたカナはそのせいで一瞬バランスを崩したが、すぐ体勢をたてなおして一旦距離を置く。

そうして次にカナが動き出す前に、北波は急に軽く両手を上げていた。


「こーさん」

「!?」


目を見開く観戦者たち。が、北波は長くは語らない。それだけ言ってハヤテに向き直る。

「聴こえただろ、オレはやめる。ソイツの勝ちだ」
「......ゴホ、分かりました。では第二回戦、勝者」

だがハヤテの言葉は途切れる。
カナがまた、動き出していたのだ。

その瞳に、その耳に、ハヤテの姿は、声はない。ただただ敵意だけを露にして北波を視線で貫くだけ。
"風遁、風波"。それを発動したと同時にカナは北波に詰め寄る。背後に迫った風と前方のカナに、北波はまた舌打ちを零して跳んで避けた。

「オイ、もうやめるっつってんだろ!!」

風波はカナに当たる直前に放散する。そして北波の言葉もまたカナの耳には届かない。カナが従っているのは一つ、"憎しみ"にのみだった。憎い、憎い、憎い━━━北波が、憎い。

「やめろ、カナ!」「もういいんだってばよ、カナちゃん!」「カナ、もう止まってよ!」「カナちゃん、やめて!」「カナ!!」━━━様々な声が飛ぶ。
木ノ葉のカナの仲間達は、ただ、もうやめてほしかった。本来ならいつだって仲間を気にかけているカナが怒りに囚われているのを見たくなかった。カナには笑っていてほしいと、誰もが思っていた。そして、それは下忍以外の者でも例外ではない。

床に着地した北波を前にカナがまた攻撃に移ろうとした時、一際大きい声が飛んでいた。


「やめい!!もう試合は終わったんじゃ、カナ!!!」


威厳のある声だった。それは、カナが幼少の頃からずっと聞いていた声だった。

カナの行動が、停止する。カナが唯一反応を示したのは、ずっと慕ってきた、三代目の声。金色の瞳が僅かに揺れ、三代目へと振り返る。金の瞳に映ったのは 優しく、それでいて真剣な瞳。

「おじい、ちゃ......」

小さな声がカナの口から漏れた。その後、カナは前触れもなく急に床へと落ちていく。

「カナ!!」

咄嗟に叫び、考える間もなく走ってカナの体を受け止めたのはサスケだった。
サスケはすぐさまカナの様子を確認する。会場内には緊張感が漂っていた。数秒後、サスケから漏れたのは安堵の溜息。

「気ィ失ってるだけだ......」
「ゴホ、それは良かった。ともかく......北波の棄権により、第二回戦 勝者、風羽カナ」


どこからともなく、ほうっと息をついた音が聴こえてきた。大体はカナの同期のルーキーである。「良かった......」と心底から言うナルトにサクラは目元の涙を拭って大きく頷く。
その彼らと先ほど短い論争を繰り広げた北波は、数秒じっとカナの顔を見つめていたが、その後には一瞬で階上へと飛び上がっていた。

階下では早速といった様子で医療忍者たちがカナ、サスケへと向かい始める。それを見越したカカシもまた二人に近づいた。

「悪いけど。コイツらはオレが引き取らせてもらうよ」
「は?し、しかし、ケガの治療を」
「キミたちじゃ畑違いなのよ」

にべもなく言ってのけるカカシに戸惑う医療班。
更に、カカシはそのやり取りをじぃっと見てたサスケからカナをひっぺがし、ひょいっと持ち上げていた。サスケが「なっ」と声を上げる。

「おい!どこに」
「さっきの話は覚えてるな。試合観戦は終わりだ」
「......ソイツをはなせよ」
「お前の体格じゃ運べないでしょーよ。恨めしそうな顔しなさんな」

かなり刺々しい視線を浴びせてくるサスケに、カカシは呆れた目を向けた。






「......おい、カカシ」
「なーによ。カナを渡せって言葉はもう聞き飽きたよ」
「違う。さっきの......目の色が変わったカナの状態の時の話だ」
「......」
「アンタ、なんか知ってんのか?アンタも確かに驚いてはいたが、オレやナルト、サクラとは違った様子だった」
「......色んなものを見てきたオレだからこそ、順応が早かっただけだ。正確なところはオレにだって分からない。それよりも、着いたぞ」

暗い廊下を進んだ先にあったのは、円を描くようにして書かれている封印式だった。
異様な雰囲気にサスケすら今までの会話を忘れて息を飲む。それが狙いだったカカシは心中で安堵し、更にサスケに「上着を脱げ」と指示を出した。封印式から目を放したサスケは一瞬戸惑ったが、必要なことなのだろうと瞬時に理解する。そして自らの服を手にかけた、ところで、一時停止した。

「カナはどうすんだ」

気を失ったままのカナ。カカシの腕から下ろされ、そこに横たわらされたカナの服はどうするつもりか。そういう意で言ったサスケに対し、カカシはやれやれと頭を振った。

「あのねえ。お前、どーいう目でオレを見てんの」

いいから服脱いでここに座れ、と言われ、サスケは渋々と腰を下ろした。
床に描かれている円、それを取り囲むように刺さっているクナイ、血文字。上着を脱いだサスケは、今まさにそれと同じ血文字をカカシに書かれつつ、隣で気絶したままのカナに目をやった。

「ま、ちょっとやりにくいけど、カナには紙に書いた封印式を準備してるから」

確認を取るように言ったカカシ。サスケはふいと目を逸らし、余計な事は考えないように目を瞑った。その背後で、カカシは言った通りの準備をし、カナをサスケと対になるように座らせる。

「よし......少しの辛抱だ。すぐ終わる」

頷くサスケ。サスケとカナ、その間に立つカカシ。その手が素早く印を組み始めた。


「封邪法印!」
「ぐッ!」


そしてそのままカカシの手がサスケとカナ、それぞれの呪印に置かれた瞬間。サスケの体はびくりと跳ね、サスケの声にならない叫びが空間に響き渡っていた。

同時に、床に描かれている血文字、体に描かれているそれも動きだし、二人の体を伝っていく。腕から、足から、背から......やがて、全ての血文字がそれぞれの呪印に吸い込まれるようにして消えていった。封印式も、薄れていく。

カカシの手が二人から離れた時、封印を始めても微塵も動かなかったカナに対し、サスケはその衝撃に耐えきれず、息切れしながら両手を床についた。悲鳴がなくなった代わりに荒々しい呼吸音が響く。

「今度もしその呪印が再び動き出そうとしても、この封邪法印の力がそれを押さえ込むだろう」

労るように膝をついたカカシをサスケは横目で見る。

「ただし......この封印術は、サスケ。お前の意志の力を礎にしている。もしお前が己の力を信じず、その意志が揺らぐようなことがあれば、呪印は再び暴れ出す。心得ておけ」
「......」

カカシの言葉が終わると同時に、サスケの体が前に倒れる。それを見越したカカシは床にぶつかる前にサスケを支え、ゆっくりと横たわらせた。
封印の衝撃は強いとはいえ、それだけで倒れるほどサスケは柔じゃない。よほど疲労していたんだな、とカカシは苦笑した。

カナも。

気絶しているとはいえあまり苦しそうではない少女。カカシはサスケ同様カナも床に寝かせてから、優しくその銀色の髪を撫でた━━━が。


「(......ない!?)」


突如、カカシは目を見開いた。

「(封印の式が現れていない!)」

瞠目するカカシ。カカシの目に見えるのは、あの"蛇"がつけたのだろう、鳥のような形をしている呪印のみ。サスケには施せたのだ、封印は完璧だったはず。カナの呪印に封印式が滑り込んでいくのも確かに見た。が、いつの間にかそれが消えているのである。

「(この呪印自体の作用か?それとも、)」



「お久しぶりね、カカシくん」
「!!」


そして唐突に、邪悪なチャクラを放つ"蛇"が訪れた。


 
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