「面白いパパンね」
「・・・そういう問題でもないよーな・・・・・・。
まあ、それで?いつ帰ってくるの?」
「もうすぐよ!絵ハガキが来たの!!」
ツナに手渡されたハガキを横から覗き込む。
「石油でんのかよ、ここーー!!?」
「・・・・・・・・・出そうにない・・・かも・・・?」
明らかに、南極。
ペンギンいるし・・・。
え、南極油田とかあったっけ・・・?いや、ないよね。
ってか、もうすぐ帰るってお母さんは言ったけど・・・。
まさか、この
“もうすぐ帰る 父”
っていうので“もうすぐ”なの!!?
アバウト!
何てアバウトな手紙!
お父さんのあまりのいい加減さに呆れ、お母さんの柔軟すぎる対応に、璃真は目眩を覚えた。
****
「・・・・・・で、昨日からお母さん、ごちそうを作り続けてるの・・・・・・。
朝ご飯もごちそうだった・・・」
璃真は応接室の机にうつ伏せた。
「へぇ・・・璃真のお父さんね・・・。
帰ってきたら、挨拶にいくよ」
「気をつけてね・・・なんか・・・・・・怪しい人だから」
「怪しい?」
「私とツナが小さい時から、ほとんど家にいなかったの。
だから何の仕事をしてるのか、聞いたことがあるんだけど・・・」
そう、あれは私が小学校に上がる前のこと・・・
「お父さんは何のお仕事してるのー?」
「父さんか?
父さんはな、世界中を飛び回って、工事現場の交通整理をしてるのさ」
「この棒で?」
「ああ」
ピカッ
「わぁ!光ったぁ!」
「・・・って言われたの・・・・・・怪しいでしょ?」
「うん」
恭弥は、きっぱりと言った。
こういうトコも好き。
いつも、私に本心を言ってくれるから。
「璃真の父親なら、怪しくても怪しくなくても、どうでもいいよ。
どんな人だろうと、その人がいたお陰で璃真が産まれたんだからね」
「恭弥・・・」
―――〜♪〜♪〜♪
そのとき、璃真のケータイが鳴った。
恭弥に一言断ってから、通話ボタンを押した。
「はい?
・・・・・・うん。わかった。
じゃあーね!」
璃真はケータイを切ってポケットに入れた。
「・・・出掛けてくるね」
あまり、楽しそうではない、璃真の表情。
「どうしたの?」
「何か・・・・・・嫌な予感っていうか・・・。
とりあえず、行ってくるね」
この予感が外れることを願って、璃真は応接室を後にした。
****
「アホ共はよぶなって言ったのに」
「誰のことですか!!?」
「ごめんね、隼人君・・・」
「!?
決して璃真さんのことでは!!!」
「(大所帯になってるし・・・。
でも、京子ちゃんも来てくれた!!)」
「おい、ツナ。さぼった分の勉強は、帰ったらネッチョリやるからな」
「ネッチョリやだー!!」
「リボーン君のネッチョリは、本っっ当に、怖いよ?」
「ちょっ!脅すなよ!!」
いやいや。
ここは経験者として心の準備をさせておいてあげるべきだよね。
「僕、ゲームセンター行きたい!」
「おっ勝負すっか?」
「負けねーぞ、コラ!!」
と盛り上がっていたが、京子がキョロキョロと辺りを見回して、首を傾げた。
「あれ?ランボ君がいない」
「え?」
「本当だ!」
どこ行ったんだろ?ランボく・・・
「ランボ君ーー!?」
ランボ君はペットショップのケージに入って、スヤスヤと眠っていた。
「違和感ないけどさーー!!」
「本当に、すみません!」
店員に頭を下げる、ツナと璃真。
「そんな!顔を上げてください、沢田さん!!よくあることですから!」
「え・・・そうなんですか?」
知らなかった・・・。
小さい子どもは誰しも入りたくなるものなの・・・?
「(絶対にないから!!
ってか、やっぱり姉ちゃんってすげー・・・)
もー、こんなことすんなよ、ラン・・・」
「目ん玉魚雷発射ー!!」
「ランボ君!」
「もー、ランボ様、許してください!!」
「ランボさん、のどかわいた!!」
「はいはい、ランボ君ちょっと待ってね」
「璃真姉ー!ゲームセンター行こーよ!」
フゥ太は璃真の手を掴んで、ゲームセンターの方へ歩き出した。
「フゥ太君!
えっと・・・・・・ツナ!ランボ君、頼んだ」
「い゙っ!?」
「ごめんねっ!今度何か奢るから!」
****
「璃真姉ー!何のゲームするー?」
「んー・・・・・・あ!」
璃真は1台のUFOキャッチャーに駆け寄った。
・・・間違いない。
「ニャン太!」
秋バージョンだ!
「璃真さん、何スか?ニャン太って」
「えっ!?隼人君知らないの!?ニャンニャン戦隊猫レンジャーズ!!」
「猫レンジャーズ・・・・・・スか・・・?」
「可愛いでしょ!
フゥ太君、ちょっと待ってね!これを取らないと!」
「でも、璃真姉は並盛UFOキャッチャーが下手な人ランキングで・・・」
堂々の1位。
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