fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01





「面白いパパンね」


「・・・そういう問題でもないよーな・・・・・・。


まあ、それで?いつ帰ってくるの?」


「もうすぐよ!絵ハガキが来たの!!」



ツナに手渡されたハガキを横から覗き込む。



「石油でんのかよ、ここーー!!?」


「・・・・・・・・・出そうにない・・・かも・・・?」



明らかに、南極。


ペンギンいるし・・・。


え、南極油田とかあったっけ・・・?いや、ないよね。


ってか、もうすぐ帰るってお母さんは言ったけど・・・。


まさか、この

“もうすぐ帰る 父”


っていうので“もうすぐ”なの!!?


アバウト!

何てアバウトな手紙!



お父さんのあまりのいい加減さに呆れ、お母さんの柔軟すぎる対応に、璃真は目眩を覚えた。










****



「・・・・・・で、昨日からお母さん、ごちそうを作り続けてるの・・・・・・。
朝ご飯もごちそうだった・・・」



璃真は応接室の机にうつ伏せた。



「へぇ・・・璃真のお父さんね・・・。

帰ってきたら、挨拶にいくよ」


「気をつけてね・・・なんか・・・・・・怪しい人だから」


「怪しい?」


「私とツナが小さい時から、ほとんど家にいなかったの。
だから何の仕事をしてるのか、聞いたことがあるんだけど・・・」



そう、あれは私が小学校に上がる前のこと・・・




「お父さんは何のお仕事してるのー?」


「父さんか?

父さんはな、世界中を飛び回って、工事現場の交通整理をしてるのさ」


「この棒で?」


「ああ」


ピカッ


「わぁ!光ったぁ!」



「・・・って言われたの・・・・・・怪しいでしょ?」


「うん」



恭弥は、きっぱりと言った。


こういうトコも好き。


いつも、私に本心を言ってくれるから。



「璃真の父親なら、怪しくても怪しくなくても、どうでもいいよ。

どんな人だろうと、その人がいたお陰で璃真が産まれたんだからね」


「恭弥・・・」


―――〜♪〜♪〜♪


そのとき、璃真のケータイが鳴った。


恭弥に一言断ってから、通話ボタンを押した。



「はい?


・・・・・・うん。わかった。
じゃあーね!」



璃真はケータイを切ってポケットに入れた。



「・・・出掛けてくるね」



あまり、楽しそうではない、璃真の表情。



「どうしたの?」


「何か・・・・・・嫌な予感っていうか・・・。

とりあえず、行ってくるね」



この予感が外れることを願って、璃真は応接室を後にした。










****



「アホ共はよぶなって言ったのに」


「誰のことですか!!?」


「ごめんね、隼人君・・・」


「!?
決して璃真さんのことでは!!!」


「(大所帯になってるし・・・。

でも、京子ちゃんも来てくれた!!)」


「おい、ツナ。さぼった分の勉強は、帰ったらネッチョリやるからな」


「ネッチョリやだー!!」


「リボーン君のネッチョリは、本っっ当に、怖いよ?」


「ちょっ!脅すなよ!!」



いやいや。

ここは経験者として心の準備をさせておいてあげるべきだよね。



「僕、ゲームセンター行きたい!」


「おっ勝負すっか?」


「負けねーぞ、コラ!!」



と盛り上がっていたが、京子がキョロキョロと辺りを見回して、首を傾げた。



「あれ?ランボ君がいない」


「え?」


「本当だ!」



どこ行ったんだろ?ランボく・・・



「ランボ君ーー!?」



ランボ君はペットショップのケージに入って、スヤスヤと眠っていた。



「違和感ないけどさーー!!」


「本当に、すみません!」



店員に頭を下げる、ツナと璃真。



「そんな!顔を上げてください、沢田さん!!よくあることですから!」


「え・・・そうなんですか?」



知らなかった・・・。


小さい子どもは誰しも入りたくなるものなの・・・?



「(絶対にないから!!
ってか、やっぱり姉ちゃんってすげー・・・)


もー、こんなことすんなよ、ラン・・・」


「目ん玉魚雷発射ー!!」


「ランボ君!」


「もー、ランボ様、許してください!!」


「ランボさん、のどかわいた!!」


「はいはい、ランボ君ちょっと待ってね」


「璃真姉ー!ゲームセンター行こーよ!」



フゥ太は璃真の手を掴んで、ゲームセンターの方へ歩き出した。



「フゥ太君!

えっと・・・・・・ツナ!ランボ君、頼んだ」


「い゙っ!?」


「ごめんねっ!今度何か奢るから!」










****



「璃真姉ー!何のゲームするー?」


「んー・・・・・・あ!」



璃真は1台のUFOキャッチャーに駆け寄った。


・・・間違いない。



「ニャン太!」



秋バージョンだ!



「璃真さん、何スか?ニャン太って」


「えっ!?隼人君知らないの!?ニャンニャン戦隊猫レンジャーズ!!」


「猫レンジャーズ・・・・・・スか・・・?」


「可愛いでしょ!

フゥ太君、ちょっと待ってね!これを取らないと!」


「でも、璃真姉は並盛UFOキャッチャーが下手な人ランキングで・・・」



堂々の1位。




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