ブルー達とゴールド達が寝所確保の為に森の中へと入って行ったのを見送った食料確保組はお互いの顔を見回した。
「えーと…どうします?」
最初の口火をきったのはパールだった。
「食料って言ったら、やっぱ海の幸とか山の幸とか集めれば良いんじゃないの?」
エメラルドがそう言うとじゃあ、オイラ達が山の食べ物を集めるよ〜とダイヤモンドが手を挙げた。
「いや、山の幸はボク達が集めるから、ダイヤモンド達は海の幸を集めてくれない?」
「「「「「!!!!!!」」」」」
ダイヤモンドの立候補を却下してルビーが自分達が森の中へと入ると言うと、そこに居た全員が驚愕の眼差しでルビーを見た。
「え、何?ボクの顔に何か着いてる?」
嫌だなぁ、早く言ってよ。と呟きながら自分のリュックから愛用の鏡を取り出そうとすると、エメラルドが素早くルビーの肩を掴んだ。
「お前、本っ当にルビーか?実はブルーさんのメタモンが化けていましたとか、ルビーのそっくりさんでした、とかっていう訳じゃないだろうな?」
「何言ってんのさ。この世界にボクみたいな美貌の持ち主なんて二人もいないよ」
ルビーのナルシストな台詞にエメラルドの肌に鳥肌が立つ。
自分の肌を見て、エメラルドは確信した。
「あ、この気持ち悪さ。本物のルビーだ」
「ちょっと、どういう意味?」
エメラルドの反応に気分を害したのか、ルビーは眉を潜めた。
「あの…。でも、ルビー先輩。先輩は汚れるのがお嫌いですよね?それなのに、どうして自分から汚れる事を進んで選ぶんですか?」
パールが気遣わしげにルビーに聞くと、エメラルドから肩を離してもらったルビーが気まずそうに居住まいを正してそっと帽子に触れた。
「…個人的な問題でね。海に入りたくないんだ」
その言葉とルビーの動作に、サファイアはハッとしてルビーを見た。
「いや、でもさぁ…」
「ああああああたしもルビーに賛成ったい!」
エメラルドを遮ってサファイアが手を挙げる。
「サファイア/先輩?」
「えっと、ルビーは海に入りたくなか言うとるし、あたしはともかく、エメラルドやって海に入るんならつけてるもんば外さないといけなかやろ?それに、あたしなら匂いでどれが食べれるか、食べれないか分かるけん。せやから、あたし達に任せて欲しか!」
早口で捲し立ててサファイアは黙り込む。
冷や汗をかいて周りを見回せば、皆同様に唖然として(正確に言えば、パール達シンオウメンバーが唖然としていて、ルビーは遠回しに小さいと言われて抗議をしようとしているエメラルドの口元を抑えている)サファイアを見つめた。
うぅ…。言い訳がましかったやろか…。
「私も賛成です」
サファイアが不安そうに眉を下げた時に、プラチナが賛成の意を示した。
サファイアは目を見開いてプラチナを見る。
「山の食材は毒素を持つものも多いと聞きますし、わたし達ではサファイア先輩の様に嗅ぎ分けて、安全な食料を集める事は出来ません。ですから、ルビー先輩達にお任せしたいと思います」
パールとダイヤモンドはお互いの顔を見合わせて、アイコンタクトを取ると頷いた。
そして、一歩前に踏み出す。
「オレ達も先輩達にお任せします」
「海の食べ物はオイラ達に任せて下さ〜い」
頭を下げるパールと自分の胸を叩くダイヤモンドにルビーは明るい笑顔を向けた。
「本当かい?いやー、助かったよ。それじゃあ、ボク達も早速向かう事にするよ!行こうか。サファイア、エメラルド」
サファイアの背中を軽く押して促し、エメラルドの襟首を引っ張って引きずるとルビーは森の中へと入って行った。
「あ、待つったい!」
「は、離せ〜っ」
ぐぇとニョロトノがひきつぶされたかの様な声で、エメラルドがルビーから逃れようと暴れ出す。
ああ、ごめん。ごめん。とルビーがエメラルドを解放して、追いついたサファイアと共に三人は食料確保の為の食材探しへと向かった。