「それにしても大きい船ですよねー」

金色に光る髪をなびかせてイエローは周囲を見渡した。
右を向いても海。
左を向いても海。
上を向けば太陽が活発に活動し、サンサンとイエローを始めとする図鑑所有者を照らし続けている。
つまりは360度イエローの視界に映るのは青空と海だけなのだ。

「本当よねっ!船体は大きいし、それぞれ個室はあるし、ご飯は美味しいし!こんな船を用意してくれたプラチナには感謝しなくちゃね!」

イエローの感嘆とした声に、ブルーが至極楽しそうに笑った。

「ベルリッツ家にかかればこの程度の物を用意するのは簡単な事です。それよりも、皆さんのお役にたてて良かったです」

プラチナが風になびく髪を片手で抑えながら、ブルーに言葉を返す。

「本当に助かったわ!プラチナがいなきゃ、アタシの無人島計画が台なしになるところだったもの!」

「…むしろ、台無しになってしまえば良かったのにな」

明るく笑うブルーに海を眺めていたグリーンがぼそりと抗議した。
その文句が聞こえたらしく、ブルーは口を尖らせてグリーンに向き合う。

「何よ、グリーン!アタシのおかげで休暇も取れて、皆で無人島に行けるんじゃない。感謝して欲しいくらいだわ!」

「誰が休暇が欲しいと言った。オレはジムを空けたくなどなかった」

「まぁまぁ、トキワジムにはホログラムがあるし、ジムを空けると言ってもほんの二、三週間なんだから良いじゃないか。ブルーだって仕事ばかりのグリーンや、連絡を取り合えなくなってきてる皆の事を想って、企画した事なんだし。せっかく皆で久しぶりに会えたんだから、喧嘩なんてしないで楽しくやろーぜ?」

言い争いを始めようと臨戦状態のグリーンとブルーの間に割って入り、二人を仲裁すると、レッドは輝かんばかりの笑顔で、な?と同意を求めた。

「仕方ない」

「分かったわよ…」

レッドの笑顔に絆されたのか、渋々とグリーンとブルーは口を閉じた。

一方、その頃ゴールド達は…。

「かぁーっ!すっげぇ海!おい、ルビー!どうしたんだよ?手摺りに掴まって下向いてるなんざ、勿体ねぇっつーの!もっと楽しめよ!」

「あ!ゴールドさん、止めるったい!」

「あ?」

手摺りに掴まって項垂れる様に立ち尽くすルビーの隣に立って、ゴールドがルビーの背を叩く。
と、同時にキッチンから戻って来たサファイアの制止する声がゴールドの耳に届いた。
が、時既に遅く。

「……気持ち悪い……」

青ざめた表情でルビーは弱々しく呟いた。

「ルビー、大丈夫と?水ば持って来たけん。飲んだら良か」

心配そうに眉を下げて、水の入ったコップをルビーへと差し出す。
サファイアから受け取ったその水を飲み干して、ルビーは小さく礼を言った。

「…マジ?もしかして、船酔い?」

ルビーの背を摩るサファイアの姿を見て、ゴールドは口の端を引き攣らせた。

やべぇ。
マズイ事しちまった。

「…ま、まぁ、よくあるこった。気にすんな!」

おい、シルバー!暇そうだな、オレが構ってやるよ!
そう言ってゴールドは逃げる様にルビーとサファイアの所から去って行った。

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