緑が多い茂る自然に溢れたホウエンの大地を一人の小女がジャリ…と音をたてて踏みしめた。

「はぁ〜。久しぶりのホウエンったい。懐かしか〜」

大きなボストンバッグを軽々と持って歩くと、少女は目的地に到着したのか、ある建物の前で歩みを止めた。

「ここがあたし達の新しい家ったいね。」

そう呟くと少女はポケットから鍵を取り出し、家の中へと入って行った。


シンオウ地方からホウエン地方に引っ越して来たサファイアは自分の後から来た引っ越し屋から家具等の荷物を受け取り、荷解きを行っていた。
本来なら父親と共にこの作業を片付ける予定だったのだが、サファイアの父親は急遽入った仕事の為に遅れてやって来る事になっているので、現在サファイアは一人で荷物を片付けている。

「…っと。これはあそこったいね。」

大雑把に大きい物から片付けているとピンポーンとチャイムが鳴った。
父ちゃん、思ったより早かったとね〜。どぎゃんしたと?と言いながらドアを開けると、そこにはサファイアの友人の少年と少女が立っていた。

「プラチナ!パール!ダイヤ!なしてここにおると!?」

「お嬢さんからサファイアが一人で引っ越しの片付けをしてるって聞いたから、一人じゃ大変だと思って手伝いに来たぜ」

友人の突然の来訪に驚いていると、パールと呼ばれた金髪の少年が笑って答えた。

「そうそう。皆でやった方が早く片付くしね〜」

あ、朝ご飯持って来たんだー。サファイアも食べる?美味しいよ。このおにぎり。とおにぎりを口に頬張っている少年ー…ダイヤがサファイアにおにぎりを差し出す。
それを受け取るとサファイアは友人の優しさに胸が一杯になって目に涙を浮かべた。

「泣く必要はありませんよ。私達は友達同士です。友達が大変な思いをしているのですから、友達として手を差し延べるのは当たり前な事です」

感動して泣いているサファイアにハンカチを差し出すと、プラチナは僅かに微笑した。
うぅ…ありがとうったい。と片手におにぎり、片手にハンカチを持つとサファイアはまだ潤いの残る瞳で三人に笑いかけた。

「よし!さっさと片付けるぞ!」

パールは照れ臭さをごまかすかの様に声を張り上げると三人を促した。



(すまん!サファイア!遅くなったっ…ってあれ?)

(あ、父ちゃん。遅かったとね。晩ご飯、できとるけん。どげんする?)

(あ、お帰りなさーい。お邪魔してます!)←三人同時に

(ああ…いらっしゃい。じゃあ、先に食べようかな…じゃなくて!皆どうしてここに?)

(皆、手伝いばしに来てくれたんよ。晩ご飯はダイヤの手作りったい。)

(美味しく作れたと思うんで是非食べて下さ〜い)


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