お風呂から上がったボクは上機嫌で自分の部屋へと戻っていた。
部屋の扉を開ければ、ボールから出て来たPOPOやNANA達が出迎えてくれる。
COCOが窓の方へと歩み寄っているのを見つけて、ボクはCOCOへと近付いた。

「COCO?もしかして、外に出たいのかい?」

そう言ってCOCOの顔を覗き込めば、COCOは否定するかの様に首を振った。
それじゃあ、何故、COCOは窓から離れたがらないのだろうか?
不思議に思っていると、コツコツと控えめなノック音が窓から聞こえてきた。
木が窓に当たる音とはまた違うその音に、ボクは急いでカーテンを開ける。

「…やっぱり」

窓を開ければ木の枝に腰掛けるサファイアが居た。
けれど、いつもの彼女とはどこか様子が違って見える。
例えば、昼間に見せる輝かしい笑顔とか。
楽しそうな朗らかな声だとか。
サファイアの持つ魅力全てが、今は俯いて見えるうなじに隠されてしまっている。
そんなうなじに普段はまったくもってないサファイアの色気を感じたけれど、今はそんな事どうでも良くて。
落ち込んでいるように見える彼女に、ボクは手を伸ばした。

「おいで」

そう言うとサファイアはボクの腕の中に飛び込んできた。
勢い良く飛び込んできたサファイアを受け止めるついでに彼女を抱き抱えて、ベッドへと連れていく。
昼間に干して、ふかふかになったベッドに彼女を座らせると、明るく部屋を照らす蛍光灯を豆電球に変えて、毛布でボクごとサファイアを包む。
そうして、自分の視界がサファイアだけになったのを確認すると、ボクは彼女を抱きしめた。
サファイアの頭に右手を伸ばして、左手は背中へと伸ばす。
何度も何度も優しく、ゆっくりと頭を撫でては背中をぽんぽんと軽く叩いていく。
ボクがそうしている間、サファイアは身動き一つしていなかったのだけれど、やがて落ち着いてきたのか、ゆっくりとボクの背中に自分の腕を伸ばしてきた。
きゅうっと服にシワが寄った所を見ると、サファイアの手がしがみつく様にボクの服を掴んだんだろうな。
というか感触的に絶対そうだ。


取り留めのない事を考えていると、ぽつりとサファイアの藍色の瞳から涙が零れ落ちて、ボクの服を濡らした。

「大丈夫だよ。ボク以外、誰も見てない。だから、安心して泣いて良いよ。ボクはここに居るから」

「…うん」

ぐずぐずと鼻を鳴らすサファイアをもう一度深く抱きしめると、サファイアが応える様にボクにしがみつく。


センチメンタルでおしとやかなサファイアも良いけどさ。
やっぱり、ボクは陽の下で明るく笑うキミが好きなんだ。
だから、ほら。
泣きたい時は泣けば良いし、寂しかったらいつでもボクの傍に居れば良い。
落ち着いたら、今度はキミが名前を呼んでくれないと。
ボクが愛してやまないその声で、太陽の陽が射す光の中で朗らかに笑ってボクを呼んでね。




**************
落ち込むサファイアを包容するルビーが書きたかった。
サファイアだって人間だもの。
落ち込む時くらいあるさ。
というか一人で抱えこんでないで、ルビーに甘えたりしてたら良いなぁっていう願望です。


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