ブルーから呼び出され、トキワジムへとやって来たイエローは目の前の光景が理解出来ずにいた。


トキワジムの休憩所(と勝手にブルーが決めている)には笑い転げているレッドとテーブルをバシバシと叩いて笑っているブルーが居て、隣ではイエローの師でもあるグリーンが不機嫌そうに爆笑しているレッドとブルーを睨んでいた。

これは一体どういう状況なんでしょうか?

説明を求める様に未だに爆笑しているブルーを見つめると、イエローの来訪に気付いたブルーがこっちへ来いという風に手招きをした。
イエローが大人しくブルーの隣に座ると、ブルーは前方にあるテレビを指差す。
ブルーの指先に促され、イエローがテレビの方に顔を向けた。

そこにはレッドに似た少年がピカチュウを連れて、ポケモンセンターを出ていく映像があった。
ピカチュウを肩に乗せて仲睦まじく意思の疎通をしているその光景は微笑ましくもある。

「…アニメですか?」

ブルーとレッドがここまで笑っている理由が解らずにそう問えば、グリーンの眉毛がぴくりと動く。
えええ、と困惑して助けを求める様にレッドを見れば、爆笑し過ぎて呼吸困難に陥っている。
ひぃひぃと酸素を求める彼に答えを求めるのは困難であろうと判断したイエローは、自力で答えに辿り着こうと己の持つ能力を駆使して、レッドを呆れた目で見ているピカに事の顛末を聞こうと試みた。
が、それを実行する前にとある声がイエローの手を止める。

「やぁやぁやぁ、サートシくん。元気にしてたかい?」

その声が耳に届いた瞬間、休憩室に先程よりも大きな笑い声が響く。
ぎぎぎ、と鈍い音をたててイエローがテレビ画面を見ればそこには…

「グリーンさん!?」

グリーンそっくりの少年が後ろにチアガールを引き連れて、サトシという名前なのだろう…レッドに似た少年に声をかけていた。


確かにサトシという少年はレッドに似ていた。
ピカチュウを相棒にしているところやバトルが好きなところなど、似ている箇所はいくらでもある。
だが、このグリーンそっくりの少年はそれ以上だ。
まるで生き写しの様にグリーンに似ていた。
…ただし、似ているのは外見だけの様で。
気障な言い回しでサトシ少年に対して嫌みを言うグリーン似の少年は今現在ここに居るグリーンとは似ても似つかない。
レッドとブルーが大爆笑している理由はこれかと思いながら、まじまじとテレビを見つめたイエローは似てませんねーと呟いた。
その呟きに反応したブルーが楽しそうに身を乗り出す。

「でしょう!?外見はそっくりなのに中身は似てなさ過ぎ!っ…くっ…ふふっ…ボンジュールって…サートシくんって…」

「ちょっ…やめろよ、ブルー。せっかく収まってきたのに、また笑いが込み上げてくるだろ…っ」

「だって仕方ないじゃないっ!サートシくんでボンジュールでチアガールよ?ついでに言うならシゲル様ーっ!よ?」

「あーもー、マジやめっ…ぶっ…くくっ」

楽しそうに笑う彼等を尻目にイエローはこの笑いの原因…否、被害者に視線を移した。
グリーンは目を閉じて、この騒ぎが収まるのを辛抱強く待っている様だった。
そんな彼に同情を感じたイエローは哀れみを込めてグリーンを見る。
すると、イエローの視線に堪えられなくなったのか、はたまた大爆笑しているライバルと同郷の仲間の笑い声に堪忍袋の緒が切れたのか、グリーンがずっと引き結んでいた口を開いた。

「アニメの話だろうが」

その声は聞いた者を呪い殺せそうな程の迫力のあるものだったのだが、今のブルーとレッドに怖いものは無いらしく、明るい声音でグリーンに笑いかけた。

「やぁね。分かってるわよ、そんなこと。だけど、面白いんだもん」

「そうそう。このシゲルだっけ?がグリーンに見た目だけ似てるのが、また笑えてくるんじゃん」

「お前似の奴だって居るじゃないか」

「レッド似のサトシはそんな笑えないわよ」

「あー、どっちかと言うと親近感沸くよな。最初にピカチュウに懐いて貰えなくて、電撃くらうとことか」

「え、そんな事があったんですか?」

今まで傍観者と化していたイエローがレッドへと身を乗り出す。

「え?ああ…そうそう。ピカとはニビシティで会ってさー…」

イエローの一言で昔話に花が咲いたレッドは、懐かしそうにピカの頭を撫でる。
そこにブルーが加わって、昔話が盛り上がっていく様をグリーンは嘆息して静かに見守っていた。


**************
先ず始めに。
アニポケのファンの皆様、申し訳ありませんでした!!
特にシゲルファンの皆様すみませんでした!
全力で悪ふざけを致しました。

ポケスペの世界でもしもポケモンのアニメがやっていたら、を考えてみました。
オーキド博士とシゲル、オーキド博士とグリーンの関係などツッコんではいけません。
そこはあえてスルーして下さい。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -