ベルリッツ家に仕える執事、セバスチャン。
彼から連絡を受けたパールとダイヤモンドは見舞いと称して看病にやって来ていた。
パールはプラチナの看病をする為に彼女の部屋へ、ダイヤモンドはお粥を作る為に台所を借りる。
許可を貰っているので遠慮無く冷蔵庫を物色させて貰う。
野菜室から野菜を取り出して包丁で適当な大きさに切っていく。
リズミカルな音を立てて切っていると誰かに肩を叩かれた。
振り返るとエンペルト、パチリス、ユキメノコ、チェリム、ミミロップがお行儀良く佇んでいた。

「あれー?どうしたの〜?」

ふわんと首を傾げるダイヤモンドには目もくれず、五匹はじっと野菜やら鍋やら包丁やらを見つめている。

「もしかして、お粥を作りたいの?」

そう聞くと五匹はこくこくと首肯するので、ダイヤモンドは嬉しくなってにっこりと笑った。

「皆もお嬢様が心配なんだねー。早く良くなって貰う為にも栄養満点な美味しいお粥を作ろう!」

倒れたプラチナを心配して居ても立っても居られなくなったのだろう。
自分達に出来る事を探して辿り着いたのがダイヤモンドの居る台所で、彼がお粥を作っているのを見て自分達でも手伝いくらいは出来るかもしれないと考えた。
そんなポケモン達の心情を考えれば考える程にダイヤモンドは胸の奥から沸き上がる高揚した気持ちを抑えきれない。
お嬢様は愛されてる。
プラチナを思って彼女の為に集まる人が、ポケモンが居る。
それは決して当たり前ではなく、至極幸福な光景であるとダイヤモンドは思った。
ミミロップが切る野菜をチェリムとパチリスが洗い、ミミロップが野菜を切って、ユキメノコが慎重に鍋に水を入れてお湯を沸かそうとする。
沸騰した鍋にご飯と野菜をぐつぐつと煮込み、ダイヤモンドが味付けをするとエンペルトがおたまを握って掻き回す。
そうして出来上がったお粥を満足げに見つめたエンペルト達は後は任せたといった様子でダイヤモンドの背中を叩いた。

「きっと、喜んでくれるよ。こんなに美味しく出来たんだもん」

新鮮な野菜に米、栄養満点なお粥には溢れんばかりの愛情が注ぎ込まれている。
プラチナを想って作られたお粥が不味い筈が無い。
早く、プラチナが目覚めてこのお粥を食べて回復すれば良い。
そうして彼女が笑ったら、ダイヤモンドもパールもセバスチャンも、そしてその誰よりもポケモン達が安心するだろう。
ギャロップが本当はお粥作りに参加したかったのをダイヤモンドは知っている。
プラチナの為に何かしたくて、けれど自分の蹄では何も出来なくて、歯痒い思いをしているのを知っている。
ダイヤモンドやパールを迎えた時のギャロップは酷く落ち着きの無い様子だったから。

ー…早く、良くなってね。お嬢様。

そう願ってダイヤモンドはプラチナの部屋の扉を叩いた。


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