「…オレの始めの主人はラルドじゃなかった。ミツルという名の病弱な少年だったな。ミツルは海に流されて弱っていたオレを助けてくれたんだ」

「ミツルって…」

「ルビーの友達だよー」

「身体は弱いが中々どうして芯の強い奴でな、ミツルがオレを拾ってくれたトレーナーで良かったと思う。それからまた、ミツルと逸れて野生に戻ったが、バトルフロンティアの戦いでラルドに出会った。その頃はキモリだった頃の記憶は無かったが、ラルドの持っていた図鑑がどうしても気になって、ラルドの傍に居た。最初はただそれだけだった。オレの苦しみを和らげてくれた事には感謝していたから、好感は持っていたがな。それからバトルを通じてラルドを知った。草の奥義を習得する時にラルドの過去を知って、あの瞳の奥に宿るポケモンバトルに対する意思の裏側、その激情に納得がいった。…オレはその時にラルドは本当にポケモンの事が好きなんだと思った。ラルド程、オレ達に誠実な奴は居ないだろうな」

ふっと笑うとジュカインは「ZUZU、交替だ」とZUZUに声をかける。

うん、と頷くとZUZUは口を開く。

「ルビーはねー。一緒に居ると楽しいんだよ。ルビーはコンテストを通じて色々な世界をボク達に見せてくれる。煌びやかで綺麗で、でも、見せ掛けだけじゃないんだ。沢山の努力を重ねて、舞台でその結果を見て貰う。沢山のお客さんから拍手喝采と笑顔を貰った時、ボクすっごく嬉しくなるの。ルビーも満面の笑顔を浮かべて褒めてくれるんだ。こんなやり甲斐のある世界にボクを連れて来てくれた事、凄く感謝してる」

ZUZUがそう言うとジュカインが首を傾げた。

「オレはそんな風にあいつを見る事は出来ないな。あいつはいけ好かない」

困った様に笑うZUZU。

「んー。ジュカインは1番最初のルビーしか知らないからー。そうだ!今度コンテストやるから、サファイアとちゃもとジュカインとエメラルド達で見に来てよ!そしたらきっとコンテストもルビーの良さも分かるよ!」

「お前には悪いが、オレは見に行くつもりはない」

「でも、ラルドだってジュカインが行きたいって言えば行こうって言ってくれると思うよ?だってラルドってジュカインの事大好きだもん」

「…言うだけ言ってみよう」

少々頬を赤らめてジュカインはぼそりと呟く。

「やったぁー」

ほのぼのとした空気が漂う中、サルヒコとるー、オーダイルとバクたろうがひそひそと声を潜めて喋り出す。

「…もしかしてジュカイン先輩もツンデレなんですか?」

「いやー、ツンデレじゃないと思うな」

「そうだな。あれはツンデレじゃない。クーデレだ」

会話に割って入ってきたのは静電気を帯びたリザードンだった。

「わあっ!」

「リザードン先輩」

「もう喧嘩は済んだのか?」

「喧嘩じゃねぇよ。仁義なき戦いだ」

「ピカ先輩」

赤い頬が燻り、尻尾の先が焦げているピカが訂正する。

「ところでクーデレって?」

「クールにデレるって事だよ。クールな態度を崩さないまま自分の素直な気持ちを言ってみたり、デレてみたり」

「確かにツンってしてないかも…」

勝手な事を好き勝手に言いまくるリザードン達にZUZUが歩み寄る。

「最後はリザードンさんねー」

「おう。グリーンはな…一言で言えば」

腕組みをしてリザードンは周囲をぐるりと見回す。

「家族想いな奴だ」

オーダイルからバクたろう、ジュカイン、ピカを順々に見てからリザードンは口を開く。

「例えばシルバーが姉想いならゴールドは家族想いの仲間想い。エメラルドはポケモン想いだろ?で、レッドは仲間想いだ。だがな、グリーンはシスコンかつジジコン。纏めるならファミコン。つまりは家族想い」

「ほら、このページだとナナミ絡みの事でマサキを睨んでるし、1巻から3巻、23巻から25巻にかけてグリーンがどれだけ家族想いなのか分かるだろ?」と漫画を広げて説明するリザードン。

「オレはオーキドの爺さんからグリーンに渡されたポケモンでそれがグリーンとの出会いだからオーダイルやジュカインみたいな特殊な出会い方はしていないけど、これだけは言えるな。グリーン程、結婚相手を幸せにしてやれる奴は居ない」

ドヤ顔を連発するリザードン。
何度もドヤ顔を見せられれば腹も立つ。

「レッドだってイエローを幸せにしてやれるに決まってんだろ!」

「レッドは修業という名の旅に出てばっかで、イエローほったらかしにしてるだろ」

「…うっ」

ピカが率先して反発するが、リザードンに返り討ちにされる。

「ゴールドだって、クリスを幸せにしてやれるさ」

「いや、ゴールドはクリス一筋かもしれないが、ちょこちょこ、可愛いもしくは大人のお姉さんに目移りするだろ?その浮気性なところはどうかと思う」

「痛いところをつくなよ…」

オーダイルにツッコミを入れられ、凹み出すバクたろう。

「ルビーは……。あの、飄々とした態度を貫くつもりなら何とも言えないなー。サファイアが可哀相」

「意外と辛口だな。ルビーの肩を持つかと思ったのに。お前はルビーに甘いから」

「そんな事ないよー。ルビーは好きな子程虐めたくなるタイプだから、ちょっとその態度は改めないといけないなって常日頃から思ってるよ?その癖、サファイアの事をいつだって守りたくて陰で努力してるんだから。口には出さないけどね。まったく、解りづらいったら」

意外な辛口評価を口にして溜息をつくZUZUに驚き、目を丸くするジュカイン。
こいつはこんなにも強かなラグラージだっただろうか。

「…オレ達には無縁な話だよなぁ…。なぁ?るー」

「えー?そうでもないよ。ダイヤはお嬢様の事好きだと思うし」

「えっ!何だそれ!?初耳だぞ!」

「気付いてないのは仕方ないかもねー。ボクとべーとエンペルトしか気付いてないもの」

「マジかよー!」

大騒ぎのサルヒコとるー。

「おーい!サルヒコ!昼飯食べるぞー?」

「るー?早くしないとべーが全部食べちゃうよー?」

「あっ、パール!」

「えっ、ご飯が危ないの!?大変、早く行かなくちゃ」

パールとダイヤモンドがサルヒコとるーを迎えに探しに来た。
片手を大きく左右に振るパールにサルヒコが飛び付き、るーがダイヤを引っ張る。

「ZUZUー!お昼だよー」

「ジュカイン飯ー」

ルビーが近付くとZUZUが答える。

「ルビーも、もーちょっと大人になろーねー」

しかし、ZUZUの声はルビーには届かない。
ニコニコと笑うZUZUを見て、「何か良い事でもあったのかい?」と質問するルビーに溜息をついてジュカインはエメラルドに歩み寄った。

「楽しかったか?」

「ああ、それなりにな」

微笑を向けてくるエメラルドにキュウと鳴き、頷くジュカイン。

「おわっ!何だ、どうしたバクたろう!?」

「自由奔放なのはゴールドの良いところだけど、もうちょっとしっかりしてくれよー!」

ゴールドにのしかかってバクたろうはキュウキュウと泣く。

「…昼ご飯だ。ポケモンフード以外は何が良い?」

「シルバーが用意してくれるなら何でも良いさ」

自分を見上げるシルバーと共にゆっくりとトキワジムへと向かいながら答えるオーダイル。

「よう、将来有望の旦那。そろそろ昼飯か?」

がう、と左手を上げてリザードンがドスドスとグリーンの元に向かう。

「随分ご機嫌だな。何か良いことでもあったのか?それから、ピカと喧嘩でもしたのか?静電気を纏っているぞ」

「喧嘩じゃなくて仁義なき男の戦いな。白熱した戦いだった」

「っつーーーっ!な、ピカ!いきなり何するんだよ!」

「レッドが不甲斐無いからに決まってんだろ!このヘタレッド!ふらふらふらふらとフラグばっかたてやがって!いい加減落ち着けよ!イエローがいつまでも待ってると思ったら大間違いなんだぞ!この大馬鹿野郎!」

ピカピ!ピカピカピピカーッ!と甲高い鳴き声を上げるとピカは10万ボルトをレッドにお見舞いした。
それからトキワジムに戻り、手持ちのポケモン達をボールに戻し、昼ご飯を食べにファミリーレストランに向かった彼等は男子会を行ったポケモン達から以前とは別の眼差しを向けられている事に気付かないでいるのだった。

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大変お待たせ致しました。

一万ヒットのリクエスト募集で応募して下さったみぃなさんに捧げます。
みぃなさんのリクエスト、男子ポケで男子会ですが、この様な感じで宜しいでしょうか?
女子だったら恋話、男子だったら下ネタ関連の話で盛り上がるんだろうなぁと思ったのですが、彼等が下ネタで盛り上がる図が想像出来なかったので、ご主人自慢大会に変更致しました。
何かこう…色々と間違っている気がしますし、ツンデレやクーデレだのの話題で盛り上がってるポケモン達になってしまって申し訳ありませんm(__)m

みぃなさんの図鑑所有者のポケモン達のイメージを崩してしまってはいないかと内心ドキドキしています><
お気に召して頂けたら幸いです^^
書き直して欲しい箇所がありましたら、ご気軽にお申しつけ下さいませ。
書き直しを致します。

それでは一万ヒット企画にご参加下さりありがとうございました(^人^)


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