「……酷い。私の作ったおでん……」
「こっ、これは……」
無惨な姿になったおでんに肩を落とすクリスタル。あまりの変貌に焦るシルバー。
あの暗闇の中で、おでんは見事にたくましい闇鍋へと進化を遂げたのだ。良い子の皆は真似したら駄目だぜ、なんてバクたろうから聞こえてきそうなぐらい、バクたろうは嫌な顔をして見ている。
闇鍋を提案した張本人はと言うと、ヘラヘラと笑っていた。痛々しい視線がゴールドに突き刺さる。
「よくあるこった、気にすんな!」
「気にするわよ! 食べられないじゃない!」
「まったく、誰だ! プリンを入れたのは! 貴様かゴールド!」
「悪いか! プリンより酷いのはヨーグルトだろうが! なんで液体みてぇなヨーグルト入れてんだオメェ!」
「ヨーグルトの何が悪い! 美味いだろう!」
「単体だったら美味いだろうけどな! それよりも無難なトマトジュースってなんだ、この野郎! クリスー!」
「トマト鍋があるんだからいいでしょう! 二人とも調味料系を入れないと駄目じゃない!」
ギャーギャーと騒ぐ三人の声が煩わしくなったバクたろうは、こたつの中に潜ってしまった。
数分後。騒ぐだけ騒いだ三人は冷静になり、土鍋に入れたプリンとヨーグルトを掬い上げ、美味しく召し上がると、トマト味になったおでんを食べ始めた。
「意外とイケる」
「トマトジュースってすげーのな」
「でしょー」
驚きの表情でおでんを食べるゴールドとシルバー。思っていた以上の高評価にクリスタルは笑みをこぼした。
無事に闇鍋を回避(?)したおでんは、すぐに空になった。おでんのあとはクリスマスケーキ。大きなクリスマスケーキは三等分に切り分けても大きく、三人はゆっくり食べることにした。
「そうだ。食休みにプレゼント交換しない?」
フォークを置いてクリスタルが提案をする。一度、クリスマスケーキと別れを告げ、準備したプレゼントを出した。似たり寄ったりなプレゼントの大きさ。
「そんじゃ、クリスから時計回りに回して、歌はジングルベルな。……せーの、ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」
ゴールドの歌い出しに続いて声を合わせて歌うシルバーとクリスタル。時計回りに回されるプレゼント。歌い終わる頃、自分のプレゼントは違う相手の元へ届いた。
アイコンタクトをしてプレゼントを開ける。三つの箱から出て来たのは毛糸の帽子、マフラー、手袋だった。偶然にも重なるプレゼントに笑いが込み上げてくる。
「こんなにかぶるもんか? しかも、買った色がちゃんとソイツのところ行くの分かってたみてぇな」
「ふっ……偶然ってすごいな」
「以心伝心でもしていたんじゃないかしら?」
鼻を擦るゴールドに、穏やかな表情のシルバー、二人を見て楽しそうに笑うクリスタル。
「ありがとな!」
「ありがとう」
「うふふ、ありがとうございます」
この冬、赤、青、橙の三色が仲良く並んで歩く姿が目撃されたらしい。
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「初恋いちご」を管理なさる神山 煉さんのクリスマス企画に参加し、頂いた物です^^
とっても仲良しなジョウトリオ!
良いですよね〜。
理想です♪
こたつの遠赤外線について語り合うゴールドとシルバー、バクたろうとその光景を鍋を持って見つめるクリスの図はシュール過ぎて(笑)
闇鍋の時にプリンとヨーグルトとトマトジュースで騒ぐジョウトリオの会話がお気に入りだったりします^^
それぞれがそれぞれの手にしたプレゼントを大事に使っている事を想像すると口元がにんやりとしてしまいます。
こんな素敵な小説を書いて下さり、ありがとうございました!
神山さんは大きくなってプレゼントが貰えなくなった大きいお友達(笑)の為にプレゼントを配るサンタさんですね!
クリスマスプレゼントは大切に飾らせて頂きます!(`▽´ゞ
本当にありがとうございました!