久しぶりに従姉妹の家を訪ねてみた。
新婚夫婦の生活を邪魔する気は無くて、少しだけお邪魔して従姉妹の顔を見たら帰る心積もりだった。

なのに。

何でこーなった?

目の前でニコニコと笑うのはミツルと顔がそっくりな、けれど性別が違う従姉妹。
先程まで居たこの従姉妹ー…ミチルの夫であるリュウジは気を遣って外出した。
彼を呼び止める暇も無く、ミチルに今まで何処を旅していたの?何を見てきたの?という質問をマシンガンの如く浴びせられたミツルはあわあわと慌てるだけでリュウジを引き留める事は出来なかった。

「ー…それで、今はサイユウシティで修業を積んでいるんです」

「まあ!そうなの!」

楽しげに両手を合わせてミチルはころころと笑う。
正直、ミツルとしても自分が今まで見てきた事、体験してきた事を聞いて喜んで貰うのは嬉しいのだ。
饒舌になればなる程喉が渇く。
何杯目か分からない麦茶をコップに注いで喉を潤した。
冷たい麦茶が気持ち良い。
こくり、こくりと麦茶を飲み干すミツルを微笑ましく見守っていたミチルはふとミツルに聞いてみたくなった。

「ねぇ、ミツル君。もしもの話だけれど、今日隕石が落ちるとしたら貴方は何がしたい?」

即ち、巷を騒がしている隕石が落ちるとしたら、その例え話の答えを。

「ツイッターの事ですか?」

突然の話題変換に目を丸くした後にミツルは小首を傾げる。
ふわふわと柔らかな緑の髪が揺れる。

「あら、知っていたの?」

「そりゃあ、勿論。ボクもツイッターをやってますから」
「それは初耳だわ」

「言ってませんからね」

すました顔で笑うミツルに昔の病弱であった頃の面影は無い。
ー…強くなったわ。身も心も。
感慨に耽りそうになり、ゆっくりと首を左右に振って感慨を追い出すとミチルはニコリと笑う。

「それじゃ、話が早いわ。ミツル君だったら何をするの?」

「そうですね。ボクだったら…旅に出ます。このホウエンを巡りきっていないですし、他地方にも行ってみたいんです。ホウエンでは見た事もないポケモンが居るって聞いた事があるから他の地方の大地を踏み締めて歩きます。カクレオンやロゼリア、ノクタスとフライゴンと一緒にね」

まだまだ世界を見飽きたら無い。
もっと世界を見ていきたい。
肌で感じたいのだと言うミツルを頬杖を付いて優しく見守る。
淡く微笑んでミチルは嬉しそうにミツルの名を呼ぶ。

「そうね。その方が良いわ。世界は広いもの。私はミツル君が世界へ羽ばたくのを止めないわ。だってこんなに輝いているんですもの」

「ミ…ミチル姉さん…!」

羞恥で頬を紅く染めるミツルを母の様に、姉の様に見つめてミチルはぐっと拳を作る。

「応援してるわよ!ミツル君!」

「………ありがとうございます」

照れ笑いを浮かべる従兄弟を眺めて、一度は追い出した感慨を取り戻し、ミチルは目を伏せる。
ミツル君がこんなに明るくなったのも、元気になったのも、この子の傍に居てくれるポケモンとそのきっかけを作ってくれたルビー君のおかげね。ありがとう。
心の中で呟けば、ボールから出てきたカクレオンを筆頭にするロゼリア達がそれぞれぐっと親指らしきものを立てた。
その光景にミツルは目を丸くし、ミチルは堪えきれなくて大爆笑する。
任せろよ!と言いたげな顔は今、流行りのドヤ顔と呼ぶべき物だろう。
くすくすと笑うミチルが咳込むまでそんなに時間は要らなく、後にミツルが心配そうな顔で彼女を覗き込むのだが、それは数秒後の話である。

**************
ミツル君はまだまだ世界を見足りない筈。
もっと貪欲に旅に出て色々な体験をすれば良い。
ミチルさん、ちょっと捏造入っちゃったや。
いまいち、キャラが掴めない。


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