夏といえば。
海、山、その他諸々と出掛ける場所はありますが。
海も山もプールもありきたりだと思わないか?
だからオレは別の場所を支持しよう。

という訳で、向日葵畑にやってきました。
イエロー同伴で。
いや、むしろイエローと二人きりでデートに来ました。
理由といえば、イエローと約束していてもバトルの申し出や、修業に出掛けてその約束を破ってしまうからその罪滅ぼしで、とかまあ、色々とある訳だけど。
一番の理由は単純にイエローと一緒に出掛けたかったからだ。

シロガネ山からマサラタウンへの帰り道、偶然見つけたこの向日葵畑。
辺り一面に広がる黄色を見て連れて来たいって思った。
きっと、喜ぶ。
案の定、イエローは目を輝かせて笑っていた。

「レッドさん!向日葵です!向日葵が繋がっていて黄色がいっぱいです!」

余程、嬉しかったのだろう。
興奮したイエローは支離滅裂な言葉を並べて、向日葵の葉から顔を覗かせた。
満面の笑顔のイエローを見て、心底連れて来て良かったと思う。
向日葵畑の中で微笑むイエローを目を細めて眺めたレッドは自分も向日葵畑の中に入って、イエローを抱きしめた。

「!?れ、レッドさん…っ?」

抱きしめた瞬間にふわりとイエローの香りが漂った。
トキワの森の匂い。
新緑の香り。
赤面するイエローを離して彼女の長い髪を掬い取る。
手触りの良い黄色の髪はこの向日葵畑の向日葵と同じ色をしている。
さらさらと零れていく髪を眺めてレッドはイエローに微笑んだ。

「イエローって向日葵みたいだよな。凄く可愛くて、綺麗だ」

「…〜っ」

恥ずかしくて俯くイエローの羞恥心が伝染したのか、レッドも徐々に頬を紅く染めて明後日の方向に顔を向けた。
二人して照れている時間が続くと思われた静寂をイエローの小さな声が破った。

「…そうかもしれません」

「…え?」

聞き取れなくてイエローに聞き返す。
俯かせていた顔を上げたイエローは林檎の様に熟れた赤い頬を隠さずに真っ直ぐにレッドを見つめた。

「ボクはレッドさんっていう太陽を真っ直ぐに目指してきました。…向日葵みたいに太陽に憧れて太陽だけを見てきたんです」

ふにゃりと笑ったイエローの天使の微笑みを直視したレッドはイエロー以上に顔を真っ赤に染めた。
へなへなとしゃがみ込み、顔を片手で押さえるレッドを心配して見下ろす。

「レッドさん…?あの、どうしたんですか…?」

「や、何でもない。何でもないよ」

安心させる為に立ち上がってイエローの頭を撫でる。
笑って大丈夫だよ、と言えばイエローは安心して微笑を零した。

(…反則、だろ!!)

仲間内で天然タラシと呼ばれるレッドはトキワの森の申し子であるイエローにノックアウトされた。
そんな恋人達の小さな物語を太陽に向けて花を咲かす向日葵が優しく風に揺られて見守っていた。







**************
レイエらしいレイエを書くとか言っておいて書いてなかったので、頑張って初々しく可愛らしいレイエを目指してみました!
どうですかね?
少しは可愛いでしょうか?

太陽といえば真っ先にゴールドが思い浮かぶのですが、咲的イメージだとゴールドは皆を照らす明るい太陽で、レッドは誰かにとっての太陽という気が致します。
イエローはそんな太陽を追い掛ける向日葵です。

それにしても秋に向日葵て季節感なさ過ぎですね。
夏にこのネタが思い付いてたらなぁ…。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -