好きなものは好き。
嫌いなものは嫌い。
欲しかったら手に入れる。
アタシの思考って割と単純なんじゃないかしら?
別の言い方をするなら欲望に素直って事かしらね。
ところでグリーン。
あんた、今、アタシが欲しい物が何か、分かる?
長い付き合いなんだから答えられるわよね?
ほら、さっさと答えて!


せっかくの非番。
久しぶりの休み。
ゆったりとした朝を迎えてゆっくりとした休日を味わう予定だったグリーンの家に早朝であるにも関わらず、訪れたブルーはずずいと顔を突き出してグリーンを問い詰めた。
ナナミはマサキの助手としてハナダの岬小屋に、両親は研究で他地方へ、祖父であるオーキドはカントー、ジョウトにある研究所でポケモンの研究に勤しんでいる。
つまり、家の中にはブルーとグリーンの二人きり。
グリーンが一人である事を知っていて押しかけてきたー…恋人をじとりと睨めつけてグリーンは深い溜息をついた。

「…オレはお前じゃないからお前が欲しがってる物なんか知るか」

「なーによっ!ちょっとくらい想像するとか考えるそぶりくらい見せなさいよっ」

ぷうと頬を膨らませるブルーはべしべしと刺々したグリーンの頭を叩いた。

「やめろ。痛い」

「ふーんだ。グリーンはアタシの事なんかこれっぽっちも興味ないんだものね!」

最後にグリーンの頬を抓ると枕を奪い取り、顔を背ける。
明らかに拗ねている。
グリーンはぼさぼさの髪をそのままに溜息をつくと立ち上がった。
机の引き出しを開けて何かを探しているグリーンを枕を抱きしめてベッドに腰掛けていたブルーは不思議そうに見守る。
探し物が見つかったグリーンはブルーの目の前まで来ると不機嫌そうに見下ろした。

「手を出せ」

素直に両手を差し出すとぽとりと四角い箱が落とされる。
綺麗に包装された箱を瞬きを繰り返して見ていると隣にグリーンが腰掛けた。

「開けろ」

「…開けて良いの?」

「良いから言っている」

丁寧にリボンを解くと表れたのはリングケース。

「…っ!」

急いで開くと緑の石が嵌められたシルバーリングが姿を現す。

「これ…っ!」

勢いよくグリーンに顔を向けると目の前にグリーンの手が突き出された。
目を丸くして良く見るとグリーンの指にはブルーが渡されたシルバーリングと同じ物が嵌められている。
唯一違うといえば、そのシルバーリングに嵌められているのが青い石だという事。
ペアリングだ。
そう思うと同時にブルーは顔をくしゃくしゃに歪めた。
どうしたら良いのか分からなくて、何か言わなければならないのに言葉がつまって出てこない。
想いばかりが溢れて溢れて、涙が滑り落ちた。

「…っ、どうして、分かったの…?」

欲しいと思ったのは、物じゃない。
自分が居て良い居場所だ。
安心して帰って来れる、迎えてくれる場所で、ふわふわと風に流される自分を繋ぎとめる証が欲しかった。

「知っていた訳じゃない。オレがお前にあげたかっただけだ」

なんてグリーンらしい物言いだろうか。

「なにそれ」

吹き出して笑うと眦に残る涙を指で拭われた。
ごしごしと指で擦る仕種は乱暴でぶっきらぼうだ。

「ありがとう」

微笑むとグリーンはブルーの手から指輪を取ると彼女の指に嵌めた。
グリーンの色がきらりと光る指輪を眺めていると満足感に満たされる。
ああ、これ、幸せってやつだ。
嬉しくて微笑んでいるとグリーンが溜息をついてデコピンをしてきた。
苦笑してから「現金な奴だな」なんて言うから「そうかもね」と返す。
だって嬉しいんですもの。
現金だって良いじゃない。
アタシの思考は単純明快なんだから。


心のからI want you!


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ブルーとグリーンでペアルックな話。
ブルーが欲しいのはグリーンそのものなんだよって話です。


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