ここはマサラタウン。
南国の風が吹く町である。
そんな町ではある家の中で言い争いが勃発していた。
始まりはグリーンの家に遊びに来ていたレッドとその弟ファイアがグリーンとその妹リーフと遊んでいた事から始まる。
同い年という事で積木で遊んでいたファイアとリーフを優しい眼差しで見守っていたレッドは隣でレッド同様に彼等を眺めていたグリーンの呟きに顔を向けた。

「…え」

「だからリーフって可愛いよなって話。新緑色の瞳なんて吸い込まれそうだし、あのぷにぷにのほっぺなんてヤバイだろ」

真顔で言い切るグリーンの顔が気持ち悪い。
せめてにやけて欲しい。
…いや、にやけても気持ち悪いだけか。
鼻を伸ばしてデレッデレッのグリーンを想像したレッドはぶんぶんと首を振った。

「…ファイアだって、可愛いよ」

「ファイアよりリーフだろ。あいつの笑った顔見てみ?マジ天使だから」

「…リーフも可愛いけど、ファイアも負けてないから」

「いやいやリーフだろ。リーフの鈴の様な声マジハンパネェだろ」

「…ファイアの小さな手が僕の手をぎゅうって握るの、凄く可愛いよ」

「リーフだろ!」

「…ファイア」

「リーフ!」

「…ファイア」

両者が一歩も引く事はなく、言い争いがヒートアップする。
決着が着かないであろうその言い争いを止めたのは騒ぎに気付いたグリーンの姉、ナナミだった。

「静かになさい!リーフとファイアが怯えてるでしょっ!?」

ぺちりとレッド、グリーンの頬を叩き、喧嘩両成敗をするとナナミは目に涙を溜めるリーフとファイアを抱き寄せた。
リーフとファイアは大きな目を潤ませながらレッドとグリーンを見つめた。

「…にーちゃ、けんか?よくない、よ…」

「なかよくしないとだめなのーっ」

ファイアがぽろぽろと涙を零し、リーフが叫ぶ。
可愛い弟妹を悲しませた事に衝撃を受けたレッドとグリーンは慌てて互いの肩を組んだ。

「…喧嘩じゃないよ」

「そうそうっ!男同士で語り合ってただけだって!」

「…ほんと?」

「うそじゃない…?」

「…本当」

「ああ、大マジだって!」

「よかったぁ…!」

濡れた瞳で暫くじっと見つめたリーフとファイアは兄を信じたのか、ぱっと花の様な笑顔を浮かべた。
その様子に兄二人はほっと息をついた。
忙しない弟と弟同然のレッドのやり取りに苦笑を隠しきれないナナミは僅かに口元を歪める。

シスコンにブラコン。
将来、ファイアとリーフは苦労をするかもしれない。
遠い未来に有り得そうな光景を想像したナナミは愛しの弟妹に生暖かい視線を送る弟二人に向けて小さく、深い溜息をついた。


**************
似た者同士のリーフとファイアの幼少期。
似た者同士ではシスコン、ブラコンの影を潜めているレッドとグリーンですが、彼等は隠す事を覚えただけでシスコンブラコンは健在です。
今回はシスコンとブラコンな彼等の荒ぶる魂がフィーバーしているお話です。


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