小説、アネットと秘密の指輪の二次創作。
ネタバレあり。
それでも良い。
興味がある方は下にスクロールして下さい。








ほぅと息をついたアネットは優雅に見えなくもない仕種で紅茶を一口、口にした。
ちらりと隣を見れば、当然の様に自分の隣に座るリチャードの姿がある。
今や二人はお嬢様とお嬢様に仕える執事という関係ではない。
夫婦、という間柄なのだ。
それも新婚。
初々しいという表現が良く似合う。
アネットは今でもこの幸せな現実が実は長い長い夢なのではないかと思う。
何しろつい最近までずっと片思いを続けていたのだ。
約一年間の片思いは長く、気付いて貰える様に努力を重ね、告白を二度繰り返してもスルーされた当時の自分を思い出して、アネットは思わず目を細めた。
良くぞ、良くぞ頑張った、自分。
諦めなかったかいがあった。
心の中で過去の自分に盛大な拍手喝采を贈ったアネットは気遣わしげなリチャードの視線と声に我に返った。

「アニー?どうされたのですか?」

「なっ…何でもないのよ!本当に、何でも!」

慌てて手を振ったアネットを怪訝に見つめてリチャードは視線をアネットから外さなかった。
赤面したアネットは何とか彼の視線から逃れようと左右に瞳を揺らすが、やがて観念したのかしおしおと項垂れた。
アネットの奇妙な行動を不思議そうに見つめたリチャードの目は丸くなっていた。
顔を上げたアネットは彼のそんなあどけない表情を直視して頬を赤らめる。

物凄く可愛い。
ああ、もう本当に。

「…違うの。ただ、ちょっと実感が沸かなくて。…リチャードがあたしを好きでいてくれて、あたし達が結婚してて…その、夫婦になったのが、あの、し、幸せだなって……」

照れて後半からごにょごにょと言い訳をする子供の様な仕種をしたアネットははにかんだ。

「……実感が、沸かないんですか?」

小首を傾げるリチャードは暫く何かを考える様に俯いた。
沈黙するリチャードに不安を覚えたアネットは焦って彼を見上げた。
何かまずい事でも言ったのかもしれない。
何せ彼は時たま、とんでもない勘違いをしてくれるのだ。
アネットのリチャードに対する好意をケーキに対する好意と同等に見たりとか。
不安げに眉を寄せたアネットを見下ろしたリチャードはアネットの頤に指をかけた。
リチャードに促され、顔を(強制的に)上げさせられたアネットは彼の整った顔が間近に迫っている事に仰天した。

「リチャ…ッ」

驚いて上げた声は下りてきたリチャードの唇に飲み込まれた。
唇を重ねるだけの優しいキスを何度か繰り返される。
心臓が激しく鼓動を打って、アネットは苦しげに声を漏らした。
茹蛸より真っ赤なアネットはぐるぐると目を回している。
リチャードは初々しい反応をするアネットを優しく見つめて、甘い声でアネットの耳に睦言を囁いた。

「実感が沸かないなら沸くまで堪能すれば良いんですよ。俺の可愛いアニー」

手のこうにキスを落とされ、アネットは目眩を起こしそうになった。
倒れかけるアネットを支えて抱き寄せるとどちらからともなく手を握る。
お互いの温もりが伝わると二人は小さな微笑みを零した。
アネットは何かを思い付いたのか、リチャードの耳に唇を寄せる。
愛しい妻から言われた言葉にリチャードはきょとんとしてから見ているこちらが蕩ける程の甘く、幸せそうな笑みを浮かべた。

〈あたしってば本当にリチャードの傍に居ると、どきどきしっぱなしで心臓持たなくなる〉
〈俺もですよ。アニーの事が好きすぎて、どうしようもなくなります〉

どきどきする

(揺らめく気持ちは模様を変えて)

**************
好き過ぎてやらかした。
反省はしているけれど、後悔はしていない。
広がれ!
アネットと秘密の指輪ファンの輪\(^O^)/
ちなみに咲はリチャアネ推奨です(笑)


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