「次は私達の番ですね」
グリーンとシルバーが宝探しに出掛けてから10分後。
プラチナとダイヤモンドとパールは地図とランプを持って森の中に入って行った。
「お宝ってどんなのがあるんだろうね〜?」
「俗に言う金銀財宝ではないでしょうか?」
「オイラは美味しい食べ物が良いなぁー」
「宝物に食べ物はないだろ!」
ダイヤモンドらしい発想にパールは思わずツッコミを入れた。
「それでは、パールはどのようなものがあると思いますか?」
プラチナが首を傾げるとパールは顎に手を置き、考え込んだ。
「…伝説のハリセンとか」
「それもないと思うよ〜?」
「分かってるよ!ちょっと言ってみただけだろ?」
自分でもないな、と思う考えを否定されたパールは羞恥心を隠す為に怒鳴った。
顔を赤くするパールを見てプラチナとダイヤモンドが笑う。
パールは赤い顔を隠す為に二人から顔を逸らした。
ちらりと相方と友達の様子を窺うと彼等は楽しそうに会話をして歩いている。
知らぬうちにパールの口元に笑みが零れた。
良かった。
いつも通りだ。
今の二人を見ても何も感じない。
森の入口付近で蔦を大量に採取して戻って来た時にダイヤモンドとプラチナが楽しそうに笑う光景を目撃したパールは一度歩みを止めた。
自分の胸に渦を巻いたのは自分でも良く分からない焦燥。嫉妬。寂しさ。
どす黒く暗い靄のようなものが心に霞むのを感じて慌ててパールは靄を振り払う様に首を振った。
あの時感じた靄が心に霞む事がない事にパールは安堵した。
三人一緒。
ブルーが言ったその言葉が心にじわじわと染み込んで暖かい気持ちにさせた。
「パール。あちらにあるのが例の宝物がある場所ではないでしょうか?」
プラチナの指先に促され、彼女が差し示す方向に顔を向ける。
「…多分、そうだと思う」
「グリーン先輩とシルバー先輩いないねー」
「まだ着いていらっしゃらないのでしょうか?」
「すれ違いかもなー」
談笑しながらパール、ダイヤモンド、プラチナは少しだけ離れた位置で叢を掻き分けて宝を探した。
彼等は失念していたのだ。
距離が多少離れていても直ぐに駆け付ける事が出来ると考えていたからこそ、それが出来ない状況に陥る事になろうとは微塵も思わなかっただろう。
宝を探す彼等の背後にもぞりと等身大の影が音もなく現れー…三人を襲った。