ダイヤモンドパールプラチナの場合。

すげぇ。
これがパールがテレビを見た時の感想だった。

今日はダイヤモンドの家でパジャマパーティー。
勿論、発案者はダイヤモンド。
それに賛同したのはプラチナで、パジャマパーティーという物をやった事がない彼女の為にダイヤモンドが立案したのだった。
最初はパールが猛反対していたが、プラチナの熱意溢れる何事も経験したいという強い意思に折れて、彼も渋々賛成した。
一度家に帰ってお泊りの為の準備をして、もう一度ダイヤモンドの家へと急ぐ。
そして荷物をダイヤモンドの部屋へと移動した後は皆でおやつという事でのんびりとテレビを見ながらお茶をしていたのだが。
昼のドラマから別の番組へと回したところ、偶然彼等の先輩であるホウエン地方の図鑑所有者が映っているのを目撃した。
驚いたまま、ルビーとサファイアのやり取りを見守って。
そして、別の人間へとインタビューを開始するインタビューアを見届けて、パールは冒頭の感想を述べたのだ。
真剣にテレビを見詰めているプラチナをちらりと一瞥すると彼女はくるりとこちらを向いて「パール、ダイヤモンド」と彼女の仲間を呼ぶ。
そして、極々真面目に目力のあるあの瞳で真剣に言った。

「あれが巷で言う『痴話喧嘩』という奴ですね…!」

「そうだよ〜。先輩達ラブラブだったねー」

もしゃもしゃと煎餅を頬張ってダイヤモンドが頷くとテンションの上がったプラチナが両腕を左右にぶんぶんと振る。

「初めて見ました!恋人同士というものはとても大変そうですね!」

「ねー。オイラはもっとスウィーツみたいに甘い物だと思ってたー」

「同感です!ダイヤモンド、私達は同士という訳ですね」

ヒートアップする会話。
恋愛話。
その手の類は余り得意でないパールが居心地悪そうに居住まいを正す。
明後日の方向に顔を向けるとダイヤモンドののんびりとした声がパールの耳に届いた。

「お嬢様の好きなタイプって何〜?」

今日の朝ご飯は何を食べましたか?と聞く様な気軽な質問にバッと勢い良く顔を向けて二人の様子を伺うパール。

待て待て待て。
そんなデリケートな内容をそんな気軽に聞いて良いもんなのか。
いや、大分まずいだろう。
でも、お嬢さんの事だからな。
サファイア先輩と同じ様にポケモンの好きなタイプを言いそうだ。

ハラハラと見守りながらも、パールはお嬢さんならそう言うだろうと思っていた。
しかし、現実は違った様で。

「パール」

「とダイヤモンドです」

自分の名前が出てドキリとするが、次いで幼なじみの名前が出た事に安堵する。

「パールの一度決めた事を貫き通す意思の硬さもダイヤモンドの穏やかで尖る事を知らない心の丸さも尊敬しますし、好ましく思います」

恥ずかしげもなくキッパリと言い切るプラチナにダイヤモンドはにこにこと笑顔を返し、パールはそっと視線を外した。

「オイラもお嬢様とパール、大好きだよ〜。パールはー?」

じぃっとダイヤモンドとプラチナの双方から見詰められるパール。

「…………」

いつもはおっとりとした筈のダイヤモンドの目は真剣になっており、プラチナの目力のある瞳がパールの答えをひたすらに待っている事を伝えている。

何だよ。
何だってんだよ。
言えばいーのかよ。
あーもうっ!

「オレもお嬢さんとダイヤが好きだよ!」

やけくそになって叫ぶとダイヤモンドとプラチナが嬉しそうに微笑む。

「お揃いですね!」

「三人一緒だねー」

「そうだな!」

羞恥心っていう物が無いのだろうか、この二人には。
オレは恥ずかしくって仕方がないってのに。
とりあえずオレは自分の役割がツッコミ役で良かったと心底思った。
だってもしもダイヤやお嬢さんがツッコミ役だったら、オレの真っ赤な顔とかを指摘されていたかもしれないから。



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