「MIMIちゃんは良かね」

突然御主人の大切なお方、サファイアさんに話し掛けられた私は、驚いて彼女を見ました。
彼女は驚いて目を丸くする私に微笑んで、私の体を撫でてくれました。
サファイアさんの微笑はどこか淋しげで人で言う所の胸がきゅうっと締め付けられ、切なくなりました。

「あたしもMIMIちゃんみたく、感じられたら良かとやのに。あん人との関係性がはっきりせんと」

瞳を細めるサファイアさんは何かを思い出しているのでしょう。
遠くを眺める彼女の顔は酷く、痛々しく見えました。

ああ、私にも人の言葉が話せたら良かったのに。
そうしたら、今すぐサファイアさんに御主人は貴女を大切に想っていますと伝えられたのに。
私に出来る事が彼女に寄り添い、尾を使って抱きしめるだけなんて、やるせないです。

悲しくて彼女に擦り寄ると、サファイアさんは私の頭を撫でて優しく笑ってくれました。

「MIMIちゃんは優しかね。ありがとうったい」

そのような事はないのです。
私はただ、御主人とサファイアさんに笑って頂きたいのです。
お二人が共に幸福であるのなら、それに勝る幸せなどないのですから。
ですから、どうかそのような哀しそうなお顔をしないで下さい。
貴女には笑顔の方が良くお似合いになられるのです。
御主人もサファイアさんの笑顔をお望みになられるでしょう。
ですから、どうか。

笑っていて下さい。

貴女の笑顔は御主人と私達とちゃもさん達にとって、眩しい程の宝物であるのですから。

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前からやってみたかった手持ちポケ視点。
一度だけでも良いから、ルビーにはMIMIちゃんに向ける愛情くらいにサファイアにも分かりやすい愛情を向けて欲しいです。


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