サポーター。
支持者、後援者、補佐。
そういった意味合いで使われる言葉。
確か、そう記憶している。
ブルーから言われた言葉を反復したサファイアは首を傾げた。
その言葉とサポーターになるという事。
一体どう関係しているのか。

「さぽーたー?」

ブルーの意図を計りかねてサファイアが繰り返すとブルーは頷いて説明を始めた。

「サポーターっていうのは本来の意味だったら支持者って事になるんだけど、ここでは助っ人と取ってくれて構わないわ」

はぁ…と曖昧にサファイアが頷くとブルーは説明を続けた。

「主な活動内容は生徒会の手伝い。活動日は決まってないから自分の都合で活動して良いわ。勿論ー…文化祭や体育祭なんて大きい行事の時なんかは人手が足りないから手伝って欲しいんだけど…。まぁ、それはこっちの都合だしね。簡潔に纏めるなら「困ってる人を助けるボランティア部」って所よ。ボランティアだから活動日も個人の都合、やりたい事をやって構わないし、他の部活の助っ人をしても良いわ。でも、ちゃんとした正規の部活って訳じゃないから管轄としては生徒会直属の部活って事になる」

ブルーの説明をサファイアとプラチナ、パール、ダイヤモンドは黙って聞いていた。
確かに部活紹介の時に「ボランティア部」などなかった。
生徒会直属というのも納得出来る。

「…この部活だったらサファイアの好きな時に部活動出来るし、あんたの探し物を探す時間も取れると思うの。…どうかしら?入ってみない?」

ブルーは気遣わしげにサファイアに微笑んだ。
その微笑みには純粋に「サファイアに部活に入って貰って今以上の学校生活を楽しんでもらいたい」と思っている事が読み取れる。
サファイアは確認の為にブルーに質問した。

「ブルー先輩、それはほんまにあたしの都合で動いて良かとやの…?」

「勿論。サファイアのやりたいようにやれば良いわ」

にこりと笑ってブルーは答えた。

「それやったら、その「ぼらんてぃあ部」に入部したか」

「大歓迎よ!サファイア、ありがとう!」

神に祈る様に両手を組んだブルーは喜んでサファイアを歓迎した。

「あのっ!お話し中のところ申し訳ありませんが…パールとダイヤモンドも「ボランティア部」に入部させては頂けないでしょうか?」

突然のプラチナの申し出にブルーとサファイア以上にパールとダイヤモンドが驚愕した。

「お嬢さん!?」

「お嬢様!?」

きりりとした表情でプラチナは強い意思を秘めた眼差しをパールとダイヤモンドに向けた。

「私は、パールとダイヤモンドにお笑いを続けて頂きたいのです」

「それは昨日、ちゃんと話しただろ?俺達は寮でちゃんと漫才の練習もネタ作りもするって言ったじゃないか!」

「いいえ、それだけでは足りません」

「何だってんだよ!」

首を左右に振るプラチナにパールは頭を抱えた。

「どうして、お嬢様は足りないって思うの?」

穏やかにダイヤモンドが聞くとプラチナは真っ直ぐに彼等を見た。

「パールもダイヤモンドもお二人は漫才をしている時が一番輝いているからです。ずっと一緒に過ごしてきた私には分かります。貴方達はお笑いが本当に好きで、芸人になりたいと思っている事。夢を追っているパールとダイヤモンドが私は好きなんです。ですから私は、貴方方にお笑いに打ち込んでいて欲しいのです」

強い眼差しでプラチナがはっきりと主張する。
対するパールは沈黙し、ダイヤモンドは穏やかな表情でプラチナを見つめた。
一瞬、流れる静寂。
沈黙を破ったのはダイヤモンドだった。

「お嬢様はオイラ達にそうあって欲しいの?」

穏やかな雰囲気そのままにダイヤモンドはゆっくりと聞いた。

「はい」

「…ね、パール」

隣で沈黙を守る幼なじみに呼び掛ける。
彼は引き結んでいた唇を開いて、頭をかいた。

「ダイヤとお嬢さんがそう言うんなら仕方ないか…」

諦めて溜息を吐くとプラチナとダイヤモンドの表情が明るくなった。
笑い合う彼女達を見てから、パールはブルーに向き合う。

「…と、いう訳なんですが、生徒会からボランティア部に移行しても大丈夫でしょうか…?」

「大丈夫よ!アタシとしてはボランティア部の部員が増える事も大歓迎だから!」

ブルーがぐっと親指を立てて笑うので、パールはほっとして胸を撫で下ろした。

「取り合えずは今日はこれで大丈夫だから、あんた達は寮に帰ってゆっくり休むと良いわ。ボランティア部も明日、生徒会に来てね」

「分かりました」

「分かりました」

「分かりました〜」

「分かったったい!」

それぞれに返事を返すと彼女達は生徒会室を出て行った。

「…ブルー先輩」

「なぁに?クリス」

今までずっと事の成り行きを見守っていたクリスタルがブルーの名前を呼んだ。

「「ボランティア部」って何ですか?」

「やぁね。さっき説明したじゃない」

「私の記憶にはそんな部活なかったと思いますけど」

「当たり前よ。今さっき作ったんだから」

楽しそうにけらけらと笑うブルーを尻目にクリスタルは溜息をついた。
ぽんと肩に手を置かれたので、そちらに顔を向けるとシルバーが小さく顔を左右に振る。
曰く。
諦めろ。
そう言いたいのだろうとシルバーの意思を正確に読み取ったクリスタルは二度目の溜息をついた。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -