ブルーとグリーンの後ろを歩いていたレッドとイエローは楽しそうに喋りながら、獣道を歩いていた。

「イエロー、そこ気をつけろ」

道ならぬ道を歩くレッド達は怪我をすることのない様に、注意深く辺りを探りながら歩かなくてはならない。
普段ぼーっとしている事が多いイエローを良く知っているレッドは先程から、何度も危なそうな場所を見付けてはイエローに注意をしていた。

「そんなに何度も言わなくても大丈夫ですよ」

苦笑してレッドに礼を言うイエローの手を握って、レッドは首を振った。

「絶対に大丈夫じゃない。オレはイエローが木から落ちそうになるのを何度も見てるんだぞ」

それはその…とごにょごにょ言い訳をしようとイエローが下を向いた時にレッドが大きな声であっと叫んだ。

「イエロー、見たか!?今の!見たことないポケモンだった。追いかけよう!」

「わっ…ちょっ、レッドさん!?」

ぐいっとイエローを引っ張ってレッドは草叢の中へと入って行った。



「おっかしいなぁ…。確かここら辺に居た筈なんだけど」

特徴的な髪をかきながら、レッドは眉を寄せて困った表情を作った。

「もう、諦めてブルーさん達の所へ戻りましょう?」

イエローがレッドを宥めようと隣に立つと、レッドはイエローに首を振って諦めないと言う。

「レッドさぁん…」

「もうちょっと探したい。イエローも探してくれ」

困った様にレッドを呼ぶイエローに頼んで、レッドは草を掻き分ける作業に没頭する。

いい加減戻らないとブルーさん達に心配をかけてしまうのに…。

今頃、行方をくらましている自分達を探しているであろうブルー達を思い浮かべてイエローは苦笑した。

ああ、でも、今自分達は二人きりなのだ。

その思考に辿り着いて、イエローは自分の前を行くレッドを見つめた。

誰もいない今ならば、ずっと聞きたくて、でも怖じけづいて聞けなかった事を聞けるだろうか。

「レッ…」

「あっ!」

レッドさん、と呼び掛けようとしたイエローの声はレッド自身によって掻き消された。

「見ろよ、イエロー!湖だ!何かあるかもしれないから行こうぜ!」

「まっ…待って下さい。レッドさん!」

走り出すレッドを追いかけてイエローも駆け出す。
ふいに漠然とした不安に襲われ、イエローは自分の前を行くレッドの背中に手を伸ばした。
ー…置いていかないで。
その言葉が口から出てしまいそうになり、イエローは伸ばした自分の手で口元を押さえた。
今、自分は何を言おうとした?
置いていかないで?
そんな言葉、自分が言えるものではないのに。

「おーい!イエロー?」

震える指先で服の端を握るとイエローは待って下さい、レッドさんと笑顔で返してレッドの元へと走り出した。

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