can't grant
叶えてやりたい想いを抱いて


また、暗いうちに目が覚めちまった。

俺の眠りは浅い、そして短い。それは地下に居たからなのか、そんな体質なのかと考えたところで俺にわかる事でもねぇ……

隣で眠るナマエを抱え直し、ゆっくりとまた目を閉じるが、眠れる訳では無かった。




ある時、ふと思い付いたかの様にナマエは俺にポツリと言った。

「リヴァイの寝顔が見てみたいな……」
「何を言ってやがる……そんなもん……」

そう言ってハッとした。

そうか、俺は……

「……すまねぇな」
「あ、謝る事じゃ無いと思うの……でも、見た事無かったから……」
「あぁ……」
「きっとね、ココの皺とか無くてね、優しい顔してるんだと思う」

俺の眉間の辺りを突っついて、ふわりと笑った。

普段、殆ど我が儘など言わないナマエが、珍しく俺に望んだ事……だが、他のどんな事でも叶えてやると思っても、それはどうしてやればいいのかすらわからなかった。

それから俺は、密かに努力をしていた。

ナマエが起きる時間ギリギリで寝てみたが、身動ぎをされて目を開けてしまった。
寝た振り……は、どうやら俺は下手な様だ。
休みの前に3日寝ないで過ごし、限界で倒れる様に寝たのだが、それでも、ナマエが起きたのを察知して起きちまった。

俺の寝顔を見た……ナマエの顔が見てぇ……

それこそ無理な話だ。俺はその時寝ている訳だからな……と、大きな溜め息を吐いてまた、考えた。

警戒心の強さか……俺は未だ何かに怯えているのだろうか……

それでも、ナマエが傍に居ても眠れる様にはなった。安心している筈なんだ。

「リヴァイ……ずっと難しい顔してる」
「あ、あぁ……悪ぃ……」
「ずっと考えてくれてるの……?」
「……」
「忘れて……いいからね。最初は一緒だと寝れなかったよね?」
「知って……たのか?」
「うん、気付いてた。でも、だからね……一緒に寝られる様になったら、欲が出ちゃった」

悪戯っぽく舌を見せ、「だからね、きっといつか見れると思うの」そう言って首に抱き着いた。

「無理しないでね……そんな事は望まないよ」

そんな……お前だから、俺は……

「叶えてやりてぇと思ったんだ」
「リヴァイ、ありがとう」
「何も……してやれてねぇ……」
「そうやって思ってくれる、気持ちが嬉しいの」
「そうなのか?」
「そうなのよ……」

笑って倒れ込む……

その想いに応えたいと、望むものはすべて与えてやりたいと……そう思いながら、安らぎも快楽も愛情すらも……俺が与えられていたのだろうと、気付いた。

「愛してる……」

腕の中で眠る……ナマエの穏やかな寝顔に癒され、見せてやれない切なさと見せてやりたい想いも抱いて、今夜も俺は眠りに落ちる。

俺より先に目覚めてくれと願い……
お前よりも後に目覚めたいと望み……
互いの想いを抱いて……眠る。




End






おまけ 【努力……?】


「ねえ、リヴァイ、私考えたの!」
「いきなり……何だ?」
「私がすっごく早く寝れば、もしかしたらリヴァイより先に起きられるかも……」

似た様な事は、既にやってるが……

「そんなに早く寝れるのか?」
「……やってみる。お休み、リヴァイ」
「あぁ、頑張れ」

ソファーで本を読んでいた俺を置いて、ナマエは寝室へと入って行ったのだが、30分もしないで出て来た。

「眠れねぇのか?」
「……眠くない」

それでもまだ諦めてはいない様だ。

「一緒に寝て……?」
「仕方ねぇな、手伝ってやろうか?」
「どうやって……」
「あ? んなもん、こうやってだな……」
「あっ、んんっ……」
「……気絶……しちまえっ」

息つく暇も与えずに責め続ければ……ほらな、あっという間に意識を手放しやがる。
いつもはナマエのペースに合わせてやるからか、俺も珍しく……心地好い疲労感を味わった。

これは……いいかも知れねぇな。

だが、そう上手く行かねぇもんで、ナマエは普段よりも長く寝ていた。

やり過ぎたか……?

「リヴァイ……激し過ぎよ……」
「その様だな……」

怠そうに腰を擦る姿を見て、俺も眉を寄せた。

「また……考える」
「あぁ……頑張れ」

そう簡単には行かねぇよ……

だが、そうだな……努力はしてみるか。

おしまい。



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