Valentine Day [ 9/14 ]



バレンタインの前日。

放課後の教室で平次が待っていると言うからアタシは教室へ向かった。



「あのっ…付き合って下さい!!」

(…えっ?)


見知らぬ女の子と、平次。
教室にはその二人だけで、運悪く告白している現場へと出くわしてしまったのだ。



「スマンけど…」


平次は珍しく困ったように眉を下げて謝っていた。
そう言っても女の子は諦めない。

「お願いします!」

「そう言うてもなぁ…」


(アタシが知らないってことは…同じ学年やないんや)


女の子は小柄で、ふんわりとした女の子って感じの女の子。
平次の目をじっと見つめ、上目遣いで見上げている。


「わたし…本気なんです!お願いします!」


(いやや…アタシ、もう帰りたい…)


そう思うものの、アタシのことを待っていてくれていたと思うと勝手には帰れなかった。
少しの沈黙のあと、平次が口を開いた。


「…わかった。しゃーないなぁ、付き合ったるわ。」


(え…付き合う?…平次…が?)


「嘘や…嘘やって言うてよ―…」


女の子は小さな袋を平次に渡し、笑顔のまま帰っていった。
教室から女の子が出てきたとき、アタシは逃げるように隠れたけど、その子はアタシの横を通り過ぎて
アタシの顔を見て笑った気がした。



「和葉、こんなところに居ったんか?」


教室から出てきた平次にも見つかってしまい、アタシは恥ずかしくて平次から顔を背けた。


「あ、和葉。明日やけど…」

「どうせ無理になったんやろ?さっきの子と約束してたんとちゃうん?」



「なんや、見とったんかい。そんなら話は早いわ。ほな、そうゆうことやから…」

「…隠れて見てた訳とちゃうよ。」

「おう、なんでもええわ。まぁ、そうゆうことやから二時間遅れる―…」


素っ気無い言葉に腹が立ち、アタシは怒る。

「ちょっ…なんでもええってどういうことなん?しかも、さっきの子に「しゃーないから付き合ったる」とか何なんよ?「しゃーない」?「付き合ったる」?アンタ何様のつもりや!!」

「和葉…?」

「あんな可愛い子に失礼やで!!」


そう言い放ったら感情が溢れてきてもうて、涙がポロポロとこぼれた。

「ちょお…お前、泣いとるん…?」

「…っ―…」


アタシは何も言わずに教室を飛び出した。





2012/02/14



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