2月3日、豆まきの日 [ 10/14 ]


「おには〜そと!ふくは〜うち!」


小っちゃい頃から2月3日はちゃんと豆まきしてたっけ。
その日はお父ちゃんが早く帰ってきてくれて、鬼のお面つけて、アタシとお母ちゃんが豆をまく。
それが毎年楽しくて。


でも、前に1回豆まきをさぼったことがある。
小学校にもあがってない小さい頃。

平次と遊んで帰るのが遅くなって、疲れてそのまま寝ようとしたっけ。


そしたら眠くてボーっとしてるアタシにお母ちゃんが「豆まきせんと悪い鬼が来て連れていかれてしまうんよ。」って言うた。


「そんなんいやや!」

泣きじゃくるアタシにお父ちゃんは優しく言ってくれた。


「そうやな、そやったらちゃんと豆まきするんやな。」

「うんっ!」


ボロボロ泣いたあと、鬼の恐怖に耐えながら涙堪えて豆まきしたっけ。



 * * *




「和葉、2月3日工藤の家に行くんやけどお前も来るか?」


「工藤くんの家?久しぶりに蘭ちゃんに会えるやん、行きたい!あ…でも―…」


2月3日は節分の日…

アタシはお父ちゃんの様子を伺う。


「行ってきなさい。家のは帰ってきてからでも出来るやろ。」

「…でも―…」

「大丈夫や、もしも鬼が来たとしても平次くんが責任持って守ってくれるやろうから。」


アタシが嬉しくて笑ったら、お父ちゃんも少し微笑んだ。
平次はお父ちゃんを見て、顔を引きつらせてた。


「は…はい。守らせていただきます。」

「うむ、頼んだよ。」



お父ちゃんと平次の会話は時々アタシにはよく分からへん。

男と男で通じるもんなんやろうか?


でも、工藤くんの家にいけることになって良かった。
今年は平次に鬼の役やってもらおう。

おもいっきり豆ぶつけてあげるんやから。




…帰ったら、ちゃんと豆まきするからね。

おおきに、お父ちゃん。







あとがき

小さい頃に親に言われた「悪い鬼がくるから豆まきはしっかりと」という約束を高校生になってまで守っている和葉ちゃん。多分、和葉ちゃんなら約束は守るでしょう。
悪い鬼からは平ちゃんが守ってくれますよ。
まぁ…強い和葉ちゃんなら自分の身は自分で守れるかもしれませんが(笑


2012/02/03

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