『 Merry Christmas 』2011 [ 11/14 ]



「お前はなに渡すんだ?クリスマス。」

12月半ば。
クリスマスを一週間前にした貴重な日曜日、大阪からコイツがやってきた。

てっきりプレゼント選びを手伝ってほしいのだと思った俺が服部に投げかけた質問。


「は?何も渡さんで?和葉からは毎年貰うてはいるけどな。」

…。

甘かった。俺が甘かったよ。

服部の言葉に何も返せなかった。


お前はあげないのか?いつも貰ってんのにか?



「和葉ちゃん」なんて一言も言ってないのにコイツは
クリスマスプレゼントを渡す相手が和葉ちゃんだって分かる。


それなのに…どうして、こうも鈍いんだろうか。

関係を聞いても幼馴染みだって言い張ってきかない。


誰がどう見ても、お前は和葉ちゃんのことが好きなのに。


「…はぁ。」


思いっきり溜息をついてやった。

「なんやねん。その溜息は。」


服部…お前に呆れたよ。



「お前は何でここに来たんだよ?」

「遊びに。」


…そうですか。


「なんでよりによって今日なんだ?」

「暇やったから。」


…そうですか。


「なんや工藤。今日、用事でもあったんか?」

ありました。

蘭へのクリスマスプレゼントを買いに行くつもりだったんだよ。


「なんで和葉ちゃんが居ないんだ?」

「いっつも連れてくる必要あらへんやろ。」

まぁ…それはごもっとも。


「用事あったんならスマンかったな。ほな俺、帰るわ。」


「はぁ?もう帰んのか?大阪からあんなに時間かけて東京まで来たってのに!」


こいつの行動力の速さは何なのだろうか?

まぁ、俺も探偵だから行動力は人よりあると思うが。


「せやって工藤、用事あんねんやろ?いきなり来た俺が悪いんやし、邪魔せんと帰るわ。」


「別にお前が居ても構わないぜ?買い物に行くつもりだったんだよ。」

「買い物か?」

「一緒に行くか?」


「ほな、ついてったろか。」

服部。覚悟しとけよ?
お前には絶対に和葉ちゃんへのプレゼントを買ってもらうんだからな。

そうじゃないと…和葉ちゃんが可哀相だぜ。




 * * * * *




「おぉ〜クリスマス一色って感じやな。」

デパートはクリスマスカラーの赤と緑。
サンタの帽子かぶった店員までいる。

「そうだな。」


俺は服部に適当に返事をし、目的の場所へと急ぐ。


「そういえば工藤、今日は何を買いに来たんや?」と服部に聞かれたが
立ち止まった場所でどうやら分かったようだ。

「蘭へのプレゼントを買いにな。」

はっきり言って俺は女子が好む可愛い店に来るのは得意じゃない。
まぁ…蘭の付き添いで何度か来ているが、何回来ても慣れない。

それなのに服部は何の躊躇いもなく店の中へと入って行った。
可愛らしい店内に不似合いのコイツが。


「いらっしゃいませ〜」


店員は笑顔で俺達を出迎えた。

…それにしてもコイツの余裕な顔は何なんだ?


「…服部。お前こういう女子が好きそうな店、慣れてるみたいだな。」って言ったら
「和葉の買いモンにしょっちゅう付き合わされるんや。」って普通に返された。


お前はいい奴なのか鈍い奴なのか…どっちなんだよ。

俺が服部に呆れていたことはさて置き…



「俺はこれを買う。」


事前に下見に来たときに蘭が好きそうだなと思ったネックレス。
俺はそれを手に取り、服部のほうを向く。




「二択の質問に答えろよ。」

「質問?」

服部は首をかしげていたが、そんなこと構わない。



「お前は和葉ちゃんの笑った顔と泣いてる顔、どっちが好きだ?」

「笑うてる顔。」

「じゃあ「嬉しい」って言われんのと「悲しい」って言われんのは?」

「「嬉しい」に決まってるやんけ。」


「じゃあ決定だな。」

「は?」


一方的に決定していると服部は状況が飲み込めず不思議そうな顔で俺を見た。



「プレゼントだよ。」


その言葉を理解するのに数秒かかったらしい。
服部は少し経ってから顔を赤くさせながら言った。


「今まで渡したこと無かったんに「はい、そうですか。」って言うて
いきなり「クリスマスプレゼントや。」って…渡せるかい!!」


「渡せばいいだろ。蘭とおそろいにしてよ。」

「そないなこと…」


いつまで経っても決断しない服部に一喝。



「他の男に和葉ちゃん、とられちまうぞ。」

「…!?」


服部は一瞬目を見開いたが、すぐに戻る。


「誰があんなしょうもない女を…」

「和葉ちゃん可愛いだろ?」


俺のその言葉に服部は何も言えずに黙った。

「その黙りは肯定と受け取るぜ?」


俺が先に会計へ行くと服部は和葉ちゃんのプレゼントを選んでいた。


なんだかんだ言ったって結局は和葉ちゃんのことを一番想っているんだ。
アイツは。


「プレゼントでお願いします。二つとも。」


服部が和葉ちゃんのプレゼントを普通の袋に入れてもらおうとしていたので
俺は咄嗟に言った。

店員はにっこり笑って包んでたな。


「…わざわざ包まんでも」

服部はそう言ってたけど包まれたプレゼントをしっかりと大事そうに持っていた。



 * * * * *


クリスマスの次の日、和葉ちゃんと服部が俺の家に遊びに来た。
和葉ちゃんの携帯には俺が選んだ蘭へのプレゼントのネックレスとおそろいのキーホルダーがついている。

蘭と和葉ちゃんは二人で喜んでる。


服部がどうやって和葉ちゃんに渡したかどうかは分からねぇけど
和葉ちゃんの元にプレゼントは行ったみたいだし
まぁ…合格としてやるか。





Happy Merry Christmas !!
よいクリスマスを。


2011/12/24

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