2011/11/11 『ポッキーの日』 [ 14/14 ]

PLL―…PLL―…


「もしもし、工藤―…「新一!!久しぶりだなっ!!」

聞こえてきたのは黒羽快斗の声。


こいつが俺に電話をかけてくる時は、だいたい何かを企んでいる時。
あと…青子ちゃんと喧嘩したときくらいか。


声は明るいから、青子ちゃんと喧嘩したようではなさそうだ。
ということは―…


「…で?今度は何を企んでんだよ。」

「まるで俺がいつも何かを企んでるみたいじゃん。」

快斗は、まるで拗ねた子供のような声を出す。


「違うのか?」

「まぁ…そうなんだけど。」


「で、何を企んでんだ?」

「新一くんに問題!今日は何日でしょう?」

「お前…俺を馬鹿にしてんのか?切るぞ。」

「あ〜っ!!違う、違うから!!今日は11月4日だろ?」

「あぁ。」

「そして一週間後は2011年11月11日!!」

「だからなんだよ。」

「ポッキーの日だよ!!ポッキー!!」

「あぁ、蘭もそんなことを言ってたな。」

「それでなんだけど、服部と和葉ちゃんにドッキリを考えた!!」

「どんな?」


「新一、ポッキーゲームって知ってるか?」

「あぁ…『ポッキーの端と端をくわえて折らないように食べて…先に折ったほうが負け。』みたいなやつ…ってまさか、お前それを服部と和葉ちゃんにやらせるってことか?」

「正解!!」

「…それはいくらなんでもやらねぇと思うぞ。」

「だから、新一に相談してるんだろ?なぁ、いい案ないか?絶対にポッキーゲームをやらせるみたいなさ!!」

「絶対にやらせるって…命令すんのか?」

「命令ができれば楽なんだけどな…なんかいい案ないか?」

「…王様ゲームみたいなことか?」

「それ!!それだよ!!」

「でも、それだと誰が王様になるかわからねぇぞ?」

「大丈夫!大丈夫!!俺は青子にも話してあるし新一が蘭ちゃんに話してくれれば、この4人の誰が王様になっても命令は一つ!!」

「服部と和葉ちゃんが王様になった場合はどうすんだよ。」

「…あ。」

「…ったく。しょうがねぇな…」

「いい案があるのか?!」

「王様ゲームには棒を使うだろ?その棒に印がついている奴が王様になればいい。ってことは、印のついた棒をとればいいだけのことだろ。」

「そんなのどれが印のついているものか分からねぇじゃん。」

「…最初っから印のないものだけのクジを作ればいいんだよ。指にインクみたいなものでもつけておいて、とった時につければいいだろ?」

「さすが新一!!」

「…はい、はい。」

「じゃあ、王様は俺が―…「駄目だ。」

「なんでだよ?」

「快斗は不安で任せられない。」

「俺はマジシャンだぜ?そんなヘマは…「俺がやる。」

「なんで新一なんだよ!!」

「お前には仕事をやるから。」

「仕事?」

「ルールだ。絶対にポッキーゲームをしなければならないようなルールを服部用、和葉ちゃん用に2つ作っとけ。」

「おっ!!了解。」


快斗は納得して、ようやく電話を切った。


(…いつも服部がターゲットで、つまんねぇんだよな。)


心の中でそう思い、なにかいい案はないかと考える。


「あ…。(ニヤッ)」

良いことを思いついた。


「蘭いるか?ちょっと話しがある!!」


 * * *


「〜♪〜♪♪〜」

新一に電話した俺は、一週間後が楽しみで自然と鼻歌を歌っていた。


「快斗〜なにかあったの?」

「一週間後、新一の家に遊びに行くぞ!!」

「ほんと?青子も行く!!」

「ポッキーちゃんと買っとけよ?」

「うん!!分かったよ。」


 * * *


PLL―…PLL―…


「もしもし、服部。」

「服部、俺だ。」

「工藤か?なんや?」

久しぶりに工藤から電話がかかってきた。
厄介な事件にでも巻き込まれたんやろか?

「一週間後、俺の家でパーティーをしようと思ってんだけど服部もくるか?」

予想と違ったなんとも平和な話題に少しだけ戸惑いつつも
「ええで。和葉も行ってええんか?」と返す。

「もちろん。連れて来てくれ。蘭も楽しみにしてる。」

「おぉ、分かったわ。」

「快斗と青子ちゃんも来るぜ。」

「…黒羽か?またドッキリみたいなん仕掛けられそうで嫌やな…」




 * * *


俺は服部に快斗のやろうとしていることを話した。
服部はそれを聞いて、すげぇ慌ててたみたいだけど。


「なんで俺らがそないな恥ずかしいことせなアカンねん!!」

「まぁ、落ち着けって。だと思ったからこうして話してやってんだろ。」

「…せ、せやな。」


「俺に考えがあるんだ。」
きっと楽しそうに笑みを浮かべているであろう工藤に聞き返した。

「…考え?」


―「『快斗と青子ちゃんに逆ドッキリを仕掛ける。』」

「…どうやってや?」

「快斗は俺と一緒に服部と和葉ちゃんにドッキリを仕掛けると思ってる。
それを利用すればいい。」

「工藤…お前、絶対に敵にまわしたくないタイプや…」

「あ?なんか言ったか?」

「な、なんでもないで?」


「そうか?じゃあ説明するぞ。―…―…。―…。」

大まかな説明を工藤からされ、内容を把握したところで工藤が言った。

「まぁ、ざっとこんな感じだ。お前は知らないふりをして俺の家に来ればいい。」

「おぉ、分かった。和葉にもそう伝えとくわ。」

「じゃあ、一週間後に。」

「工藤ん家やな?分かったで、ほな。」


 * * *


―そして、一週間後。



「「こんにちは〜」」

何も知らない快斗と青子ちゃんが来た。

「あがって?新一はリビングにいるから。」

蘭に出迎えてもらい、快斗と青子ちゃんが入って来る。

「あれ?服部くんと和葉ちゃんはまだ来てないの?」という青子ちゃんに
「あぁ、まだ来てないよ。きっと、もう少しで来るんじゃないかな?」とだけ答えた。


「あ〜!!服部、早く来ないかな〜っ!!服部の焦った顔、見るの楽しみだぜ!」

快斗はそわそわとしながら服部達がくるのを待っている。

自分が逆ドッキリを仕掛けられるとも知らずに―…



2011/11/11

[*prev] [next#]

back






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -