七夕 [ 4/14 ]
七月七日。 また、この日がやって来た。
毎年、この日は来るのだけれど
毎年、同じことを短冊に書き続ける
幼い頃からずっと、恒例行事みたいなものになってるし。 なにを書くかなんて一つしかない。
「また、この願い事か」なんて織姫さんと彦星さんに呆れられたりしないやろうか。
ううん、きっと大丈夫。
「なに一人でボケ〜っとしとんねん」
「短冊に願い事書いてたんよ」
今年の七夕もアタシの家で集まって。 「面倒や。」とか、なんだかんだ言っても来てくれる。
「なんて書いたん?」
「平次には教えへん」
「なんやねん、それ」
「それより平次はなんて書いたん?」
「お前には教えへんわ、アホ」
「見せてくれてもええやん」
「これでお互い様や」
そしてまた、今年も―…
―『ずっと一緒にいられますように 和葉 』
誰かなんて名前は書かない。
アタシ一人が分かってれば十分やもん。
それに、夜空の織姫さんと彦星さんはきっと分かってくれるから。
『 大切な人と一緒に居たい。 』
その気持ちを一番分かってくれるやろ?
空に輝く星を見つめて。
どうか、この願いを叶えてくれますように。
―『 アイツをずっと一番近くで見守ったる 平次 』
「願い事なんかしないでも、二人の気持ちは同じやで。」
二人が書いた短冊を見た和葉の母親は、自分の娘を見つめた。 微笑ましい二人を見つめていると、何故か自然と笑顔になる。
「織姫さん、彦星さん。娘たちの願い、叶えたってあげて下さいね」
2012/07/07
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