「きゃあっ!」

屯所に千鶴の悲鳴にも似た声が響き渡る。


「千鶴っ?どうした!!」

オレは千鶴の声に気が付いて、千鶴の部屋へと駆けつけた。
千鶴の部屋の前には左之さんが居る。


「平助、今はあけない方が―…」

左之さんが何かを言っていたけど
そんなことを無視してそのまま勢いよく部屋の襖をあけた。


そして、驚く。


「きゃーっ!!」


今度は本当に悲鳴だった。


「きゃーっ!こ、こないでっ!閉めて下さいっ!!
は、はやくここから出ていって下さいっ!!」


俺は目を見開いたまま、その場から動くことができないでいた。


「平助!!…閉めるぞ。」


左之さんが俺を廊下へとひっぱり、千鶴の部屋の襖を閉めてくれる。



「…だから言ったのに。」



最初の悲鳴に似た声は、着替え途中に左之さんが「入ってもいいか?」と聞いたために出た声らしい。

驚いた左之さんは開けないで理由を尋ねたら
千鶴に「今、着替え中なんです。」と言われ、廊下で待っていたそうだ。


それを何か千鶴にあったんじゃないかと勘違いして、着替え中に思いっきり襖をあけてしまったのがオレ…


(あぁ〜…オレ、千鶴に嫌われたかも…)



その後…

俺は一週間ほど千鶴に近づくことを許されなかった。




2012/02/26


 




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