“ どんな顔して会えばいいのだろうか? ”



…と、ぐるぐると頭の中で考えた。



山田さんが目を覚ます前に静かに帰って、幸いなことに翌日は休みだったから今日一日彼女に会わずに済んだけれど。




夜も寝付けなくて、目を閉じていたらいつの間にか眠りについて。
次、目を開けたときにはカーテンの隙間から眩しい光が差し込んでいた。



外は明るくてとてもさわやかな朝、のはず…なのに。
気分が重い。




どうしても、彼女の顔が思い出される。






「相馬、さん」





呼ばれている気がするんだ。
どうして、と。





―…何で、山田にキス…したんですか?



彼女にそう聞かれたら、俺は一体なんて答えるんだろう。





「…何で?」




部屋には、一人。
答えなんか返ってくるはずもないのに、俺は呟く。




答えなんか、分からない。



妹…のはずじゃなかったのか?

好き、なんだろうか。



山田さんのことを考えるたび、胸が痛む。

自分らしくもない。



「ははっ…何、やってるんだろう…俺」


自嘲気味に笑うと、なんだか本当に自分が馬鹿らしくなる。
荷物を持って、靴を履いた。



行きたくない、なんて子供みたいなことは言えない。

行かなければいけないんだ。





彼女の待っている、場所へ。






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