―「わたし…ちっちゃくないよぉ!!」




今日もかたなし君に「先輩、小さくて可愛い」って言われたよ……
わたし、そんなに小さいかな?



わたしの方が先輩なのに…!
年上なのにっ!



……と、思ったら。




「佐藤さん、発見!」




佐藤さん、大きいから身長のびる秘訣とか知ってるかも!





「ねぇねぇ、佐藤さん!」

「……?」




「どうやったら大きくなれる?」




「種島か。どうしたんだ、急に」


「今日もね、かたなし君に『小さい』って言われたのっ!ねっ、ねっ!酷いでしょ?」





「……種島が小さいのは昨日や今日の話じゃないだろ」



「佐藤く〜ん、それって『気にしなくていい』ってこと?今日の佐藤君、優しいね。あれ、もしかしてさっき轟さんに『佐藤君って優しいのね〜』って言われたことやっぱり嬉しかったんだ?」




―……ピキッ




「あぁ、そうだ。種島は生まれたときから小さいからもう、どうにもならないってことだ」




「ええ〜?!!佐藤さん、酷いっ!!」


「本当、佐藤君ひど〜い(笑)」




「……(怒)」



「あ……(佐藤君、怒らせちゃった)」





「どうしたの?佐藤さん、急に黙っちゃって」



「ご、ごめんね。種島さん……佐藤君のこと怒らせちゃったみたい…ほ、本当にごめんね〜っ!!」




そう言って、相馬さんが足早に逃げていく。





「え?相馬さんっ?!」



「……種島………」




「ん?なあに、佐藤さ―…」








ズバババババババーン!!!






「わわわあああ〜っ!」


「ふっ……」






「あれ?今日は可愛い……」



鏡を見ると、髪の毛はおろされていておでこには花のついたパッチンどめ。




「佐藤さん、なんでおろすの〜っ?!どうしちゃったの?佐藤さんがちゃんとした髪型にしてくれるなんて!」



「………」





逃げたはずの相馬さんが、隠れてこっそりと様子を伺いながら葵ちゃんとこそこそ話す声が聞こえて来た。



「佐藤くんがあんな可愛い髪型にするなんて……」

「本当ですっ、いつもと違って逆にこわいです!」



「やっぱり、轟さんに褒められて内心は嬉しいんだねっ」


「愛の力ですね!八千代さんの優しさが、愛の力で佐藤さんまで優しく……」



「そうだね〜」




そこにかたなし君がやってきた。



―……ドーン



「悪い。種島、手がすべった」





佐藤さんに背中を押され、前のめりな状態になったわたしはそのまま前へと倒れていく。




「佐藤さん!先輩をいじめちゃ駄目ですから―…ぁ、あっ、え?えぇ〜っ?!」





―ポフッ




「か……かたなし、君?ご、ごめんね」





かたなし君の腕の中へとスッポリ…という形に。




「か…」


「どうしたの?かたなしくん」




わたしの目を見たまま固まってしまったかたなしくん。
怒らせちゃったのかな、と心配しながら上を向く。




「か……可愛い!!!髪の毛おろした先輩、いつもと雰囲気が違って可愛い!お花のぱっちんどめも似合っててすごく可愛いっ!!」




その後わたしは目をキラッキラさせたかたなしくんに30分程、ずっと頭をなでられたのでした……







「先輩はやっぱり、小さくて可愛いなぁ〜///」




「ちっちゃくないよ!大きくなるもんっ」





END



2013/07/10






 




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