『 紅茶 』
「ほら、冷めないうちに飲めよ?」
私の前に置かれたティーカップの中に入っているのは紅茶。
新一はコーヒーしか飲まないはずなのに、キッチンの棚に一つだけ紅茶が置いてあった。
* * *
「ほら、蘭の分のコーヒーだぞ。」
「あ…うん、ありがとう。」
中学生の時に新一に入れてもらったコーヒー。
苦くて一口しか飲めなかったけど…
いっぱい砂糖とミルクを入れればなんとか飲めるかも…って思ってたのに「砂糖?あぁ、今切らしてるんだ。」なんて新一は平気な顔してブラックのコーヒーを飲んでた。
「あ…もしかして、コーヒー飲めなかったか?」
新一は心配そうな顔をして私の顔を見た。
「ううん、大丈夫。」
私はそう言って、飲み干したけど…
* * *
覚えててくれたんだね。
「ありがとう、新一。」
私…そういう新一の優しさが好きなのかも。
2012/04/03
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