毎日は平和 Short | ナノ
おひさま






「あぁ〜っ!気持ちいい天気。」



晴れた春の朝。…ではなく、昼間。
遅く起きたアタシは両手を空に向けて上げ、うんとのびる。



お日さまに照らされて、干された洗濯物も嬉しそう。


「あれ?アタシ、洗濯物干したっけ?」



お昼の時間だというのにパジャマ姿のままの自分を見て、ふと疑問に思った。
まさか寝ている間にぬくっと起きて、洗濯物を干したなんてそんなことはありえない。


なんて、そんなことを考えていたら後ろから声が聞こえた。




「ようやく起きよったか。」



振り返るとそこには平次の姿。
長袖を腕まくりして、手には洗濯カゴなんか持って。




「俺が何回起こしても起きひんし、気持ちよさそうによだれ垂らして寝よって。」


「う、うそや!よだれなんか垂らしてへんもん!」



平次に言い返すと、「ええから着替えてこい。」って言われた。



着替えながら、アタシは平次に聞く。



「平次が洗濯物干してくれたん?」

「当たり前や。俺のほかに誰が居んねん」




平次の性格が出ている洗濯物の干し方。
あんなんやったら乾いたときにシワシワになってまうやん。



でも、せっかく干してくれたんやから文句は言えへんね。
アタシやって洗濯機かけて寝てもうたんやから、平次が干してくれへんかったら洗濯機の中でずっと固まったまんまやったんやし。





「ありがとうね、平次」


「おう、たまにはええわ」




着替え終わったら、平次に「飯、作ってくれ」って言われて簡単にチャーハンで済ませてしまおうとちゃちゃっと作る。


そのあとに布団を干そうと思ってたら「重いやろ?」って平次が変わりに運んでくれた。







お日さまの光は大好き。
心まで温まる気ぃするんよ。

中でも一番好きなのは春のお日さま。


チューリップも桜も、花が咲く。
人も、お日さまの温かい光によって家の中から出てくるようになる。






「布団とりこんでくるわ」



そう平次が言ってから、何分くらいたったんやろう?



もう三十分くらいたったかも。





「遅いなぁ、平次」


様子を見に、平次の元へと向かう。


すると、取り込んだふかふかの布団の上で平次が気持ち良さそうにぐっすりと寝ていた。








「人のこと、言えへんやん」




でも、きっと慣れない家事をやってくれたから疲れたんやろうな。



「平次、こんなとこで寝てたら風邪引いてまうよ?」



起こそうとしても、返事すらしないでぐっすりと寝ている。
アタシもお日さまの光でふかふかになった布団は大好きやから分かるけど…





「うわ〜ふかふかや〜」


平次の隣に座ったら、やわらかいふかふかな布団が気持ちよくてアタシも少しの間だけ横になった。











気がついたら、夕方。

お日さまが沈もうとしている。



平次はまだ寝てる。
ちょっぴり寒くなってきたから寝ている平次に毛布をかけた。


アタシも平次と寝てしまったのは、秘密やで。

ええよね、たまにはこんな日があっても。







2012/04/18