今日も天気は快青です | ナノ
 『風船』

「青子、次はあれに乗りたい!」


青子は、新しくできた一回転するジェットコースターを指差した。


「またジェットコースター?」


何回もジェットコースターにつき合わされ、疲れてきた俺などお構いなしに青子は俺の手を引っ張る。


「快斗!行くよ!!」


仕方ねぇな。
今日くらいは青子の好きなようにさせてやるか。



「…。」

「すごい列だね。」



ジェットコースターの前には長蛇の列。
新しく出来たばかりということもあり、大勢の来場客が並んでいた。

列の最後を見つけた青子は急いで向かおうとする。
しかし、込んでいてなかなか前には進めない。

そんな青子を見ていると、危なっかしくて見てるこっちがひやひやするぜ。



「ちょっと…おい!青子!!そんなに慌てると転ぶぞ!」




「大丈夫〜!青子は快斗と違うんだか―…きゃあっ!」



言ってる傍から青子は人ごみに押されて転んだ。



「青子!大丈夫か?」

「…痛いよぉ。快斗〜…」



俺が駆け寄ると青子は涙目で俺を見上げる。


「足くじいたか?」


黙って頷く青子に俺は手を差し伸べて青子を立たせた。



「そこのベンチまで歩けるか?」

「うん。」


肩をかしてやって、近くのベンチに青子を座らせる。

青子は俺に顔を隠すようにして泣く。
泣き止む気配がない。


「青子…泣くなよ。」


原因は多分、乗りたかったジェットコースターに乗れないのと
足をくじいた痛さの二つ。


理由が分かっていても俺はどうすることも出来ない。


すると、誰かが青子の肩をトントンと叩いた。



「…くま?」

この遊園地のマスコットキャラクターだろう。


俺の言葉に青子が顔を上げる。



「くまさん…どうしたの?」


くまは手に持っている風船の一つを青子に差し出した。




「青子にくれるの?」



青子の質問にくまは頷き風船を青子の手に渡す。
渡された風船の色は青。



「青子の名前に青が入ってるから風船も青?」

くまは「そうだよ」と頷く。



「そっか。ありがとう。」


くまさんにもらった青い風船を持って青子は嬉しそうに笑った。



いつの間にか泣き止んでるし、今日のところは「くま」に感謝だな。





※あとがき

二人で遊園地に行ったら、青子ちゃんがはしゃぎそう。
足とかくじいちゃって、どうしようかと思っている快斗がマスコットのくまさんに助けられる。

…なんてことがあったら面白いなと思って書いてみたもの。

マスコットのくまさんが、青子ちゃんに青の風船を渡したのは偶然ですよ、きっと。



2012/01/17



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