今日も天気は快青です | ナノ

 『 lying mask 』


「お嬢さん、こんな夜遅くにお出掛けですか?」


夜空に星が降る夜、俺はマスクを被る。
怪盗キッドの正体は誰にも知られてはいけない。

しかし、幼馴染みの青子に偶然逢った俺は声をかけていた。


「えっ?」

俺に気づいた青子は驚いた表情を浮かべ、歩くのをやめた。


白いスーツに身を包んだ俺はあくまでも怪盗。
青子の幼馴染みの俺ではなく、怪盗キッドだ。


「あなた…怪盗キッド?」

青子は俺の白いスーツを見て、そう言った。


「さすが警部のお嬢さん。そう、私が怪盗キッドですよ。」


俺はなるべく青子に顔を見られないように
少し、距離を置く。


「意外に若いのね。」

そう、青子に言われ内心ドキッとした。

「私を捕まえなくてもいいのですか?」

青子の瞳に見つめられた俺は、そんな不自然なことを聞いてしまった。


「なんで?」

当然、青子は不思議そうに俺を見つめ返してくる。


「あなたのお父さんは、私のことを捕まえたがっているからですよ。」

「う〜ん…そうだけど、キッドは捕まえて欲しいの?」


そうやって悪戯っぽく笑う青子は、何度見ても子供だと思う。

顔は似ているけれど、東の探偵君の幼馴染みは
青子と比べ物にならないくらい大人だ。


「どうしてそう思うのですか?」

「だって普通、『捕まえないのですか?』なんて聞かないよ?」

青子のもっともな答えに「そうかもしれませんね。」と
苦笑いした。


「じゃあ、青子が捕まえると言ったら?」


そう言われて、一瞬だけでも考えた自分に驚いた。



「私は…まだ捕まる訳にはいきません。」

「ふ〜ん?」

「捕まる気もありません。」

「そっか。」


青子はにこっと笑い、「捕まらないようにね。」と言った。


これ以上、青子と話していたら俺の正体がバレてしまうかもしれない…


「それではお嬢さん、またどこかでお逢いすることがあれば…」

「そうね。」

「お気をつけてお帰り下さい。」


俺は青子に一輪のバラを渡した。
キッドはこのくらいキザなのが丁度いい。


「それでは…」

俺は逃げるようにその場を去った。
偽りのマスクがとれてしまう前に―…




「ばいばい!キッド!!」

青子は手を振った。


風に乗り、ハンググライダーに乗って月が輝く夜空に向かう俺へと―…




lying mask
- 君は知らなくていい -





あとがき
※初めての快青でした。
ちゃんと、青子ちゃんと快斗になっていたか心配です…
『 lying mask 』ということでしたが、怪盗キッドの姿で青子ちゃんに会ったという場面にしてみました。
快斗の複雑な気持ちを表現してみたかったのです。
いかがでしたでしょうか?

2011/10/24







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