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■俺はいつも素直だけど?
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最近、彼の元気がなくて…心配です。


「今日さ、一緒に帰れないんだ」


いつもだったら「俺、先帰るから」って言うはずなのに。


「そっか…仕方ないね。また明日」


どこか見つめるところは遠くて。
元気が無いなって思ってしまうのは、気のせいなのかな。


「最近…なにかあった?」

「どうして真稀がそんなこと聞く訳?」

「…元気ないから」


「…そう見える?」


黙っているわたしの頭に手を置いて「大丈夫、気にすんな」って彼は言った。


学校帰り、ボーっとしている彼を黙って見てた。

もう教室にはわたしと彼しか居なかった。
「久しぶりに二人で帰るか」と彼から言ったのも、わたしにはどこか不自然なようにしか思えない。



「ごめん、ちょっと考えてた」

「大丈夫?」

「あぁ、平気」


わたしは彼の隣を歩く。

一緒に帰るからって彼は何かを喋るってことはしない。
わたしはいつも喋っていたけれど、今日は一言も喋らずにただ彼の隣を歩いていた。



「なぁ、真稀」

「ん?」


彼のほうを向く。


彼は少しの間、黙ったあと「ごめんな」って謝った。




「…幸雅はさ、幸雅のままでいいんだよ?」


無理しているようにしか思えなくて。




「無理しないで?」


そう言ったら彼は少し目を見開いて、でもすぐに優しい顔をして。


「そっか。…俺のままでいいんだ」って言った。


むしゃくしゃしていた心の感情や、悩んでいたことがあったのかもしれない。
でも、そんなことさえ小さなことなんだって思ってくれたらいいなって。

嫌なこと、悩んでいること。
少しでもわたしが力になれたら嬉しいから。


彼の口から「ありがとな」って言葉が普通に出てきた。




「なぁ、真稀?」

「なに?」



「…やる」

渡されたのは、小さな箱。


「今日、誕生日だろ」



中に入っていたのはネックレス。
月と星をモチーフに作られていて、とても綺麗。

彼は携帯を取り出し、ストラップを指差した。



ついていたのはわたしのネックレスに似たストラップ。
きっと、おそろいにするために探してくれていたんだ。


「ありがとう///」


「…ん」

「今日はやけに素直じゃん」



「俺はいつも素直だけど?」

そう言った彼はいつもの彼で、心のどこかでほっとしている自分がいた。







2012/07/08

お題配布元『確かに恋だった』様



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