久しぶりに入った紗枝の部屋で二人。
「俺、紗枝のこと好きだよ。」
そう言ったら紗枝が俺の方を向いて笑った。
「なに?今更。わたしも智祐のこと好きだよ。」
それはあまりにも自然で、その自然さが妙に悲しくて…
「…さんきゅ。」
「いきなりそんなこと言っちゃってへんなの〜」
紗枝は何もなかったかのように、また雑誌のページをめくっている。
俺の『好き』は偽りなんかじゃないのに君の瞳には偽りとして映る
春が近づいていることを知らせるように、開けていた窓から風が入ってきた。
桜の花もそろそろ咲くのかななんて、ふと思ったりして。
「…桜、咲いたら見に行こうか」
「いいね。だれ誘う?」
君には、俺と二人って考えは最初からないんだね。
そんなこと考えたら何だか…
難しく考えている自分が馬鹿らしくなった。
「二人で行く?」
そう言ってみたら「いいよ」って返事が返ってきた。
「…やっぱり好きだよ、君のこと」
お題配布元『確かに恋だった』様
2012/03/10