「小さい頃の約束、覚えてる?」
「忘れた。」
「ひどい幼馴染み〜」
本当は覚えてる。
でも…そんな約束なんて忘れてくれた方がいいんだよ。
「絶対にわたしを泣かせない。わたしを悪い奴らから守ってくれるって約束したでしょ?」
子供の頃だから言えた素直な気持ち。
今の俺には到底無理だ。
幼稚園の時、紗枝が大きな犬に睨まれてて今にも泣きそうな顔をしていたことがあった。
俺は紗枝を安心させるために前に立ち、逆に犬を睨み返してやった。
俺もそのときは幼かったわけで―…
正直、俺もこわかった。
…けど。
今にも泣きそうな潤んだ目で名前呼ばれたら放っておけないって。
紗枝の震える手をしっかり握りしめて、
その時に「紗枝は俺が守る」って、そう思ったんだ。
もう一つの約束。
―『大きくなったら、さえをおよめさんにしてあげるよ。』
そんな子供の頃の約束、きみはもう覚えていないだろうけれど…
もし覚えているのならば…
約束なんて忘れてくれた方がいいんだよ
君の好きな人は俺じゃないから…
お題配布元『確かに恋だった』様
2012/02/28