―どうしたら俺は苦しまずにすむ?
そんなの、簡単。
嫌いになればいいことだ。
―…そんなこと出来る?
紗枝のためにもそのほうがいいに決まってる…
* * *
「智祐、付き合って。」
「は?」
鼓動が速くなる。
「買い物〜!」
「あ、買い物な…」
「それ以外になにがあるのよ?」
「いや、買い物しかねぇよな。」
まさか、勘違いなんてしているつもりはないけれど…反応してしまうんだ。
―『付き合って』。
まだ鼓動が速い。
これが買い物じゃなかったら…別の意味だったら。
そんな叶わぬ夢に浸ることも許されない俺の恋は俺を置いて走っていく。
「早く!下で待ってるよ?」
「分かったよ、今行く。」
嫌いになればいいことなのに…
「そんなの…いまさら無理だっての。」
君を嫌いになるなんて俺にはできない
お題配布元『確かに恋だった』様
2012/02/10