『お前ら本当に仲いいよな。本当は付き合ってんじゃねぇの?』
小学生の高学年くらいから、そう言われるようになった。
俺は男で、紗枝は女。
そんなことを気にし始めたのは多分、小学生の高学年。
「違うよ。俺とこいつはただの幼馴染みだって。」
俺が紗枝のことを好きだって自覚したのはもっと後。
「うん、紗枝のこと好きだけど?」なんて急に態度を変えることなんてできなかった。
中学生に入り、友達の目を気にして「紗枝」って呼ぶのをやめたこともあった。
「小林」って呼んでみた。
「智祐が遠くに行った気がするから、その呼び方やめて。」って涙をためて紗枝が言った。
俺も同じ気持ちだった。
こんなに近くにいるのに、紗枝がすごく遠くに感じた。
手をのばせば、名前を呼べば君はすぐそこにいる。
そう知ってしまった俺。
それが『辛い』としか思えなくなってしまった俺はどうしたらいい?
* * *
「紗枝、俺の弁当ある?」
「持って来たよ、はい。」
同じ高校に入った俺達は、また同じことを言われるんだ。
「本当に仲いいよね、二人は付き合ってるの?」
『ただの幼馴染み』だなんて何回言ってきただろう。
俺と紗枝は『ただの幼馴染み』でしかないのか?
「…幼馴染みだよ。」
自分で言って、苦しくなった。
我が儘だなんて分かってる。
でも…
君の…もっと近い存在になりたい。
お題配布元『確かに恋だった』様
2012/02/05