02
家に着き、鍵をあける。


一人暮らしのアパート。


真っ暗な部屋に電気をつけた。



「…はぁ」



自然と溜め息が出る。

今日、署長に言われたことが原因だ。



「高木君が…左遷…」



あまりに突然で予想もしていなかった出来事に対して
私の心だけがついてこれない―…


「伝えろって…どうやって高木君に伝えればいいのよ…?」


カップ麺が出来るのを待ちながら、そんなことを考える。



「明日…伝えよう」


そう決めた。







―次の日の朝



元気よく出勤してきた高木君の顔を見たら

左遷の話など切り出すことが出来なかった




私は打ち明けなくちゃいけない。
でも
どうしていいか分からない。
笑いながら言えばいいの?
それとも
深刻そうに言えばいいの?
考えれば考えるほど
分からなくなってくる。



「佐藤さん?」


「あっ、ゴメン。えーと、連続ひったくり犯の聞き込み調査よね?
じゃあ、私は現場近くの店の聞き込みするから、
高木君は被害者の話を聞いて。」



「はい、了解しました。」





被害者の話を聞いてから
現場の聞き込みに行っても良かった。

けれど、無意識のうちに
私は高木君と離れて行動することを選んでいた。



2013/02/12


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bkm
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