プルルル
数分後、僕の携帯が鳴った。
佐藤さんが起きないようにリビングから出て電話にでる。
「高木くん?」
「白鳥さん、どうしたんですか?」
「今、少し時間平気かな?」
電話の向こうから聞こえてくる白鳥さんの声が少し緊張を帯びている。
「あ…はい。一応…」
大きな声を出さないように気をつかいながら返事をした。
「私が教えた公園には行きました?」
「…はい。」
「そうですか。…それで、私がこんなことを聞くのもどうかとは思うんですが…」
白鳥さんは少しの間の後にこう言った。
「これから…どうするんですか?佐藤さんと…
…残念ですが、左遷は決定されてしまったようですし…」
「分かってます。佐藤さんには悪いけど左遷の話を受け入れようと思います。
一回だけでも本庁につけたことは僕にとって良い思い出です。」
「……高木刑事」
「そもそも僕には向いてなかったのかもしれません。
あはははは。
すいません、もう切りますね」
僕は一方的に電話を切る。
深呼吸をし今にも流れそうな涙をこらえた。
「イヤよ…」
後ろを振り返るとリビングで寝ているはずの佐藤さんが僕の後ろにいた。
2013/04/07