15
僕はおじさんの頼みを断ることが出来ず
佐藤さんを送っていくことになった。


佐藤さんを背中に背負い
家へと向かう。


「…高木君……」



耳元で佐藤さんの声がして驚いたが
寝言だと分かるとまた歩き始めた。







僕はタクシーを止め、佐藤さんの家に向かった。
タクシーの中で佐藤さんは眉間に皺を寄せ唸っていた。


「つきましたよ」


僕は佐藤さんの腕を肩に回し、部屋の中に入れた。

寝室まで運ぼうかと迷ったがさすがに失礼だと思い
リビングのソファーに寝かせる。


風邪を引かないように僕の上着をかけ、その場を立ち去ろうとした。


すると

佐藤さんは僕の袖を掴んで離さない。



「行かないで…。」



その言葉は寝言だと分かっているのに胸が痛い。


僕は佐藤さんに近寄りそっと頭をなでる。



「どこにも行きませんよ。」



そう言うと佐藤さんの力が緩み袖を離してくれた。




2013/04/07


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bkm
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